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エビラ沢
久山 学

山行日 1976年9月5日
メンバー (L)久山、多部田、別所、今村、春原、木村、下司、他2名

 エビラ沢は地元では菅平沢とも呼ばれ、風巻尾根と神平尾根に囲まれた水を集め、神ノ川に流れ出ている。今回、新人歓迎山行として、このエビラ沢と同じく神ノ川の支流の伊勢沢とが選ばれ、姫次に集中登山することになりました。
 前日の夜、エビラ沢の出合まで入りそこでビバーク。翌日は別所さん達の来た車の音で目が覚める。何となくドンヨリとした天気で沢登りには大変良好な様子です。伊勢沢に入る野田、山本、稲田三氏は車で出合まで送ってもらう。車の帰りを待って私達も出発。メンバーは多部田、春原、今村、下司、木村、別所の六氏と別所さんの友人の二人、それに私の9人です。
 エビラ沢橋からすぐF1とF2が見える。ここの直登はかなり悪いので早くも高捲く、ここでワラジに履き替える。すぐ廊下状となり小滝が2、3続く。堰堤を捲いて登ると河原となり、また廊下状となる。少し行くとF7 5mとなり滝壺が大きく沢幅いっぱいに広がって直登は出来ない。左の壁に3本ばかりハーケンが打ってありシュリンゲがかけてある。少々嫌らしい所なのでザイルを出し、別所さんのジッヘルで登る。始めの2mややハング状で強引に体をのし上げる。そこで1本目のハーケンにカラビナを掛けザイルを通す。そこからは上の大きな岩と下の岩との間をハーケンに掴まりながら腹ばいになってずり上がる。後の人を確保しながら登り方を見ていると、まるで大きなイモムシがヘルメットを被って這っているようで滑稽だ。ここで30分くらい時間を食う。これを過ぎると小滝が連続していてシャワークライムやヘツリなど楽しみながら登って行く。一本立てて15分行くと少し広くなり正面に20mのF15が立ちはだかる。直登は無理なので右を高捲く、この後も小滝が続き我々を飽きさせない。8mのF19を沢登りの楽しさを味わいながら行くとF20の20mとF21の10mが続く、これは登れそうなので登攀道具を付け別所さんのジッヘルで登る。途中ハーケンを4本ほど打つ、20分くらいかかってやっと登る、続く10mは5mずつ二段に分かれている。下部は問題はないが上段はホールドが少なく結局打ってあるハーケンを頼りに水を頭から被って登る。この上はまた小滝が続き天気が良くなって日が当たりだす。源頭近くなって流れも少なくなったので昼食とする。もう12時を少し過ぎているので伊勢沢の組は姫次に着いているかな。これから先は岩屑が沢床を隠して歩き難い谷となったので、詰めの短そうな枝沢を見つけてそれに入り藪を漕いで袖平山に出て、そこからは一級国道を姫次に向かう。
 エビラ沢は小滝と大滝とがミックスした大変楽しい沢でありました。ただ新人歓迎の山行なのに新人が一人の参加もないのが少々寂しいことでした。


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