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その2 遭難について
別所 進三郎

 遭難はどんな種類の山行にだってその可能性はある。その人の山登りのポテンシャルを上げようと試みての勇み足の失敗なら私はむしろ歓迎したい思いを心の隅に持っている。が、生命に関することでもあり、取り返しのつかない場合もあるのでその辺矛盾がある。会員が遭難した場合、三峰はその遭難事故処理に一丸となって出来得る限りの手と努力をすべきである。またその責任は刑事上で問題ある場合を除いて、遭難は事故であるという見解に立つがあえて遭難の責任といった場合、当事者はともかくその同行者、所属山岳会に責任の一端は必ずあるはずと思う。その場合の責任範囲、補償等の問題は非常に難しいが、会としては日頃からそのようなことに対する方針を考えておかねばならぬと思う。以上の他に遭難についても日頃思っていることもあるが、遭難について一般論を並べたところで起こさないに越したことはない。起こさないための対策、起きてしまった場合の安全圏までの具体的な処理対策が三峰山岳会では如何になっているかが問題である。
遭難を起こさないための対策
 これは日頃、会員全員がやっているであろう「俺は遭難は絶対に起こさない、俺の対策は登らないことだ」というのは冗談として、山のスケールに合わせて皆それぞれ昼食のみ持参とか、予備食、救急薬品、雨具、ザイル等持って山行している。新人でそれらに気付かない人も会員と行くことにより何かあった場合も会員から援助を受けて無事山行を終わっているし、次にはちゃんとその経験を活かして必要な対策をするようになってきている。三峰の過去にわずかしかない遭難がそれを物語っている。その点、誇れるべきことだと思っている。「そんなの当り前だ、三峰は鳴かず飛ばずで大した山行もしていないじゃないか」という人もあるかも知れないが、それは違うと思う。
遭難が起きた場合に対する対策
 はっきり言って三峰はこの点、準備万端整っているとは思えない。その理由の一つとして過去に遭難の経験が余りないからである。最低限、事前の届け出(委員長、委員、他の会員、山行によっては地元警察、岳蓮、山小屋、家族等)、三峰山岳会緊急連絡網を記した書面(昭和48年に作成したものがあるが、現時点で通用するものを各自が持つ必要あり)と緊急カードの常時携帯は徹底すべきである。また、委員会等においては山岳保険加入の問題、救急処置方法の学習、救助体制のPRなど早急に実施、検討すべきことがあるのではなかろうか(何やら自分が委員長をやっていた時にできなかったこと押し付けるようで申し訳ありませんが)。遭難とは傷害、疾病、天変地異、難儀などを被ること、悪い出来事、不幸な出来事に遭うことである。しかし、遭難結果だけに拘りたくない、途中経過を重視したい、もし起こってしまっても災いを転じて福としたいのである。


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