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その4 遭難
播磨 忠志

 登山にはある程度冒険的要素がある以上、遭難事故は絶対に起こらないという保証はないであろう。だから山岳会としてはそれに対する常日頃からのある程度の対策は必要であろうし、会員各自も自分の技術、条件内でできる限りの援助をする覚悟があって当然だと思うし、山岳会に入る意義の一つもそこにあると思う。
 先ず最初に山岳会としての対策であるが、遭難救助訓練は勿論のこと会員に対していかにしたら遭難事故を防ぐことが出来るかを徹底的に啓蒙し、山行の届出制を確実に実施させ、必要とあればコースや目的地の変更、時によっては山岳保険の加入等の指導をし、委員の中に遭難対策委員会等を設け、もし遭難事故が起こったら迅速な連絡と早急な対策が取れる体制を取っていればよいと思う。
 また当山岳会で単独に救助できない場合(遭難場所、および技術的に)に都岳連や他の山岳会に救援を依頼するための横の連絡も必要になるであろうし、もしそうする場合にはどうするか考えておいた方が良いと思う。
 次に遭難に要する費用の問題であるが、もし可能であれば会の方である程度まで(できれば全額)の負担を希望したいのだが、それも費用の額によっては不可能であろうし、そうすることが全てベストであるとは思わない。しかし、当会としても遭難対策費として特別会計を設け、初動資金に不自由の無いように備えているのであるから、更にそれを一歩進めて何らかの方法で普段からそれを増強し額を大きくすることによって初動資金という名目にとらわれず、もっと広い意味での対策費にしてはどうかとも思う。また遭難が起こり対策費がゼロまたは極端に少なくなった場合には後でOB、先輩、および当事者等の寄付その他によりできるだけ多くの額を集め、元の金額にならなくともより近づける努力をし、その時点よりまた会員同士で協力して遭難対策費としての役割を果たすぐらいの額にもっていくのがベストではないか。
 費用の点では山岳保険に入るのも一つの方法であるから、それも前向きの姿勢で考えてみるべきであろう。
 また、会員同士はいつそのような事故が起こってもできる限りの援助を惜しまぬぐらいの連帯感を持って欲しいものだ。いつ自分の身にそのような事故が降りかかり当事者にならないとも限らないし、せっかく三峰山岳会に入って共に活動しているのであるから、それが会員同士の絆ではないであろうか。
 最後にもしも遭難事故が起きてしまったならば、それの原因を謙虚に反省し、誤ったところは直し、二度とそのような事故を起こさぬよう全会員で注意しより高度な登山を実践していこうではないか。


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