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「無事カエル」北アルプスを行く
久山 学

山行日 1977年5月5日~8日
メンバー (L)野田、久山、他2名

 三峰山岳会の皆様、お久しぶりです。小生「無事カエル」です。今回北アルプスの燕岳から蝶ヶ岳までの縦走にお供させていただきました。リーダーは野田先生。そして中学校時代の友人で喜代美ちゃんとご主人様の三人。5月5日から8日までの3泊4日の山行でした。
 5月4日の夜、春山合宿から帰ってきて3日しか経っていないのに元気にアパートを出ましたが、新宿駅にいる時から雨が降ってきて、明日の行動が思いやられました。それでも電車がガラガラだったのでゆっくり寝ることができました。目が覚めて外を見るとやっぱり雨が降っています。また雨の中を合戦尾根を登るのかと思うと何となく足取りも重くなるようでした。でも気を取り直して中房温泉で傘を出し、御主人を先頭に喜代美ちゃん、野田先生の順で登り始めました。予定では今日は大天井岳まで行くはずでしたが合戦小屋までの雨の中の登りでいささか嫌気がさし、今日は燕岳までに変更になりました。小屋で食事を摂りだいぶ楽になった尾根をゆっくり登りまして燕山荘前に12時に着きました。早速テントを張り、昼食を摂ってから、まだ燕岳のピークを踏んだことがないという喜代美ちゃんのためにアタックしてきました。まだ雨が降っていたのですが風が強く周りの山々は全然見えませんでした。御主人たちその日は風がうるさくてほとんど寝られなかったそうです。それにシュラフもビチャビチャでした。御主人様のポケットに入っている小生だけがグッスリでした。
 6日朝、皆よく寝られなかったようで調子悪そうに起きました。それでも天気は上々。それに昨日みたいに登り一方ではなしに登り下りがだらだらの道。途中で写真などを撮りながら槍ヶ岳が綺麗だとか、いや穂高岳の方が美しいとか。三人ともとっても楽しそうに歩いていました。大天井岳山頂で野田先生、御主人様に「何で今日は良い天気になったか分かるかい?」との質問。御主人様が分からないと答えると「実は今日は私の38回目の誕生日なんだ」とのこと(オメデトウゴザイマス)。今日は常念乗越までとし、昨日濡れた物を全部干すことにする。おかげでシュラフなどはきれいに乾き、今日はグッスリ寝られそうだ。夜は缶ビールで野田先生を祝い、星空の下でロマンチックな一夜を過ごす。
 7日朝、今日も風が強い。朝食を摂る頃には雨が降ってきた。出発を遅らしてラジオなどを聞きながら天気の回復を待っていると雪になる。8時頃から良くなるような様子が見え出したので出発する。常念乗越から常念岳までは急登で強風にあおられてかなり時間がかかる。それでも山頂は物凄いパノラマ台だ。槍ヶ岳が遠くなり穂高岳が近くなってきた。そこからはかなり下ってしまった分だけ登り返すと蝶ヶ岳だ。
 強風が弱まらないので今日は蝶ヶ岳ヒュッテ前にテントを張る。今度の山行最後の夜なので、御主人様たちはあるったけの酒と食料を飲食する。
 いよいよ下山の日だ。ルートは「長塀尾根」だ。森林帯の下りでただ足元を見てひたすら下った。途中3パーティが登ってくるのに会った。小生の御主人様より暇な人がいるのにはビックリしたけど、今頃から登ると静かで良い山行になるのではと御主人様。徳沢着が9時。ジュースなどを飲みながらゆっくりする。ここからは上高地まで新婚旅行のカップルが沢山いる中を横目で眺めながらのんびり歩く。上高地着11時。タクシーで松本まで行く。
 今回の山行で良かったのは何と言っても穂高の眺めである。ガイドブックにも書いてあったが、それ以上の良さがあったようでした。小生、御主人様と共に大変良い山行ができたこと、とっても嬉しく思っています。三峰山岳会の皆様ともお会いしたいと、小生心からお待ちしてますので、御主人様が行けるような所でしたらお供させてやってください。それでは皆様お元気で。

「無事カエル」

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