トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ232号目次

エッセイ 日焼け止めクリーム1本携帯
下司 真知子

 3日間の充実した春山合宿に関しては生涯忘れることもないくらいの強烈な印象を残して終了したのですが、ここに今一つ悔やまれることがあります。
 それはお肌の美容と健康についてです。人間の平均寿命、75歳まで生きるとして、今回の日焼けという皮膚の過酷消費による消耗度は、普通に下界で暮らしている人よりも5年、少なくとも3年くらいは衰えを早めたのではないかと、それは身の毛もよだつ思いで恐怖におののいています(少々、おおげさですが....)。
 先ずは今回、無塗装での3日間の直射日光による100パーセント紫外線吸収の経過報告なんぞをしてみます。

1日目.... 雨のち曇天のため、紫外線による日焼けの自覚症状なし。
2日目.... 晴天。日焼けしているなと顔面に感じる。強烈な太陽光線が雪に反射して目がチカチカする。
3日目.... 快晴のため、紫外線による皮膚刺激最大で、顔面がヒリヒリし、あたかも火あぶりの刑に処せられているよう。他に雪の反射により雪眼になった者1名。頭痛、眼病を訴える、またそれに近い者も若干名あり。

 以上が3日間の様子ですがその結果は思いの外シビアにかつ正直に影響し皮膚に現れてきました。
 先ず、皆さんも体験してよくご存知の通りお風呂に入ると因幡の白うさぎの如き痛み方でした。翌日はお化粧もせず痛々しく赤く腫れ上がった顔をつけて出社した訳ですが、言うに及ばず尋常ならぬ顔の説明に一苦労。用事があって来た人がその用事も忘れて顔を眺めて笑って帰ったり、皮膚が回復の見込みのないことに憐れみを持って同情し、お悔やみを述べてくれたり....。薬の会社に勤めている関係上、開発部の社員からはモルモットでも観察するように顔を眺められ「これは単に雪焼けと言うものじゃなく、炎症を起こしている」と診断を下され薬までもらいました。....これが第1日目、他人の心配をよそに楽観していたら2日目もほてりが消えずヒリヒリ痛む。少し熱もあるようです。2時間おきに化粧室に飛び込みカーマインをつけて冷やす。鼻の頭の皮は3枚むけ、顔は惨めな世界地図。3日目はようやく、ほてりも収まりメラニン色素が沈着し、黒光りのする顔の出来上がり。この日をもってまともに人と顔を合わせて話せるようになりました。
 以上が合宿以来、耐え難きを絶え、忍び難きを忍んだ3日間のお話でした。
 そして今、今回の有様に少々考えを改め、5分早く起きて日焼け止めクリームをつけよう、帽子もかぶろう等と殊勝なことを考えています。とは言え、山に登る以上、風雨、雪そして汗を流すことにより日焼け止めクリームの効果能力に限界があり、信頼を寄せるにはちと不安が残るのですが....。多分気休めなのだろうが、女性諸君よ!日焼け止めクリームの1本くらいは携帯しましょうね。
 徒然なるままに、日焼け、雪焼けの話でした。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ232号目次