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鼻曲山、角落山
堀内 享子

山行日 1977年3月20日~21日
メンバー (L)今村、山本、播磨、川田、稲田、久山、下司、木村、堀内

 3月19日の夜、上野を出発して軽井沢へ、今回の山行は私にとって初めて参加する例会山行です。今までは友達と月1回くらいの割で日帰りハイクをしていたけれど、ここにいる人達から比べれば私なんか本当の初歩の初歩。きっと皆んな凄いのでしょう。尊敬と畏怖の念を持って私はついて行ったのです。参加人数、総勢9人。こんな大勢のベテラン諸氏に囲まれて行くのは私は初めて。リーダーの今村さんが今度の山行は私にとってはキツイだろうって言ってたけれど、ついて行けるかなあ、不安、不安、不安。
 軽井沢の駅で寝て、早朝タクシーで長日向という所まで行き、そこから歩き始めます。始めは緩やかでちょっと雪が残っていたり、その後急登があったりしたけど、これならついて行けそう。先ず、長日向から鼻曲山へ、そして角落山へ行きます。始めは緩やかに、でも最後にはゼエゼエ言いながら鼻曲山の頂上に着きました。ここの頂上はとても見晴らしが良くて360度の展望、白根山、八ヶ岳、遠くアルプスも見えます。でも道路が近くを走っていたりして、しばし人間から離れられない感じ。展望を楽しんだ後、今度は目的の角落山へ。この山は片方の斜面が凄い急傾斜でまるで切り立った崖のようです。
 その日の夕方、私達は鼻曲山と角落山の鞍部にツェルトを張りました。ところがその場所が痩せていて、結局もう少し先に行った所で三つ張ったのですが、ツェルトの下から草がぼうぼうと飛び出して全く落ち着かない有様でした。が、それでも三つ張ったツェルトのうち、一番ましなところに9人が陣取って楽しい楽しい夕食が始まりました。そうです、あの小さなツェルトに9人が入って食事をしたのです。何とよくもまあ入ったものです。私は足が痺れても動くことができず、ただ腰を曲げたり伸ばしたり。今から考えても感心します。今回の山行で一番印象に残ったのはそのことでしょう。翌日は目的の角落山へ。登りはまあ何ということはないのですが問題は下りで、急傾斜の上に凍っている所があるのです。そこで私は勿論のこと皆んなもアイゼンを付けることになりました。アイゼンの威力というのは素晴らしくて昨日下り坂で一人で滑って転んで半ば下り恐怖症になっていた私が、このアイゼンの爪でガチッと地面を押さえると全く平気で下りて行けるのですから大したものです。とまあ、こんな具合にそろりそろりと降りて行ってやっと平地に降り着いたら次に私達を待ち受けていたのは長い長い自動車道路だったのです。


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