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52年沢合宿 谷川タカノスC沢
別所 進三郎

山行日 1977年9月25日
メンバー (L)久山、野田、別所、庭野、下司、関、鈴木(隆)

 一昨日のビバークで昨日は二俣幕営地で停滞となり、今年になって3回目の酒を抜いた一昨年のあおりでワインから始まり日本酒、ウィスキー、グミ酒とメッタメタに飲んだくれて一寝入りした夕方は悪酔いで頭がガンガンしていた。どうしてこんなに飲んじゃうんだろう。
 さて、今日は新たに庭野、下司の両沢登りのテクニシャンを加えて全員でタカノスC沢を遡行することになった。
 C沢出合まで違う沢に入ったりしてちょっと手間取った。晴天下、広く明るいスラブ群がB・C沢の出合から始まってずーっと奥まで続いており壮快そのものであった。初めのうち要領をつかめずまごついていた関さんも登るに従い登り方が安定してきた。ちょっと難しい滝場はカモシカ鈴木のトップでザイルを垂らしてもらう。日曜日にあたるその日は、我々7名のパーティーに前後して5、6パーティーが入っていたが、そのうちの一組は小さな犬を2匹沢登りに参加させていた。しばらく犬の遡行ぶりを見させてもらったが上手なもので、犬の手足は岩角を掴むことなんかしないで全てプッシュホールドを使い後はスピードと体のひねりとバランスで登っていくさまはやたら腕力を使って攀じっている我々と比べ岩登りのグレードが格段に違うなあと思った。しかし、2匹のうち1匹は初心者らしく沢の中ほどに達する前に登れない所が出てきたらしく、他の1匹が登っていってしまったのを鳴いて呼び戻しているみたいだった。結局、他の1匹の犬とその犬を連れて登っていたパーティーの一人はマナイタグラのバットレス手前まで登っていたが登った沢を引き返していった。さてC沢も後マナイタグラを登るだけとなって大きな岩床の上で昼食とする。まるで沢の中に居るなんて感じではない。ただ広く傾斜の色々な尾根に居るようだ。マナイタグラはそこから100mも行くと急に立ち上がり屏風のようなB・A沢の源頭と続き我々に迫ってくる。他のパーティーはC沢とB沢を分ける尾根の延長上にあるマナイタグラのリッジにルートを取っていたが、我々はC沢上のほぼ中央にあるルンゼをめがけ増々覆いかぶさるようなマナイタグラに入っていった。右に斜上するバンドの下からダイレクトに直上するルートを鈴木、久山のコンビで登る。彼等はそのまま直上し浅いルンゼを経て稜線に達する。残りはバンドを詰めてそこから直上する草付きのルンゼに踏み跡を見つけた。下司さんと庭野さんは最後の草付きを高度感にもかかわらずフリーで快適に登っていってしまった。残り3人はアンザイレンして慎重に登る。飛び出した稜線では皮を剥いたリンゴが待っていた。大休止の後、オジカ沢の頭を経て再び中ゴー尾根を下る。天幕を畳んで帰り支度ができた頃はもう薄暗くなっていた。入ったときと同様、懐中電灯で足元を照らしながら牛首を歩く。水上での恐怖のナベヤキうどんとビールを頭にチラつかせながら谷川温泉へ急ぐ。
 春の芝倉沢合宿と同様天候に恵まれた山行でした。谷川でこんなのあるのかなー。


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