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春山合宿その3 平ガ岳隊
久山 学

山行日 1978年4月29日~5月2日
メンバー (L)久山、須貝

 春山合宿の表題。本当は「山は高さ険しさが難しからず」ということで始まり云々....。
 トレースがない雪の原尾根は平坦でガスがかかっている。周りを見渡しても何でも同じ所のような感じがし、雨が降り出した。
 まだ午前10時なのに「テントを張ろうぜ」。春山合宿「兎岳集中」を計画した時から私の頭の中には平ガ岳から縦走してみようという考えがあった。
 幸いにも須貝さんという頼もしいパートナーを得られ尾瀬から入山し大白沢山~平ガ岳~剣ヶ倉山~兎岳~駒ヶ岳へ出て下山しようと計画を立てた。
 結果は惨めにも尾瀬だけで終わってしまい何とも情けないやら悔しいやらで自分に腹が立ってしょうがなかったが、時間が過ぎるに従って色々考えさせられた。
 私達が考えていたより雪の尾瀬は難しかった。
 初夏に行くと人また人の行列で、道に迷うどころか人に迷うような状態である。だから私達は尾瀬のことはあまり研究せずに甘く考えていた。ところが山が平坦で雪で道が隠れている山は一旦道に迷うと動きがとれない。
 おまけにガスと雨にやられ我々はこれで2日も予定が遅れてしまい兎岳への希望を断念した。
 山という自然の作り出した芸術は美しいが故に四季それぞれの難しさを持っている。決して同じ顔で迎えてはくれない。
 「山は高さ険しさが難しからず」である。


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