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燃料とコンロの話
稲田 竹志

 「気をつけよう、コンロの取扱い」
 会では定期的にバーナー取扱い講習を行ってきましたが、今回は誌上で要点を説明します。先ず、この種の事故は非常に多いので燃料の性質、機械の構造を理解して下さい。
1.燃料の性質
 現在、登山用器具に使用されている種類はブタンガス、灯油、ガソリン、メタ(アルコール系)などがあり性質は下表の通りです。

コンロの種類
ブタンガス 引火点5度以上、主に夏山用に使いスペアボンベが必要。火力は少し弱く低温時使えないが安全性は高い。
アルコール系(メタ) バーナーの予熱用。非常用。湯を沸かす程度に用いる。固形、缶入り、チューブ等がある。スイスメタは無臭で予熱用に良いが水に濡れると溶けるし長時間放置すると昇華して小さくなるのでビニールで包むこと。種類によっては息もできないほどガスが出るので注意する。
灯油 引火点40度以上、予熱を必要とし発熱量はガソリンと大差なく安全だが器具が組立式なので面倒なのと音が少し煩く火力の微調整がし難い。
ガソリン 引火点-45度と非常に低いので取扱い、給油は要注意。カーボンが詰まるので必ず白ガス使用。火力があるので冬山に適している。反面危険なので器具の構造、修理等は必ずマスターすること。器具の加圧方式は自動とポンプ式がある。
その他 ・プロパンは耐圧性の重い容器を必要とするので向かない。
・ローソクは照明だけでなく少人数のツェルトや雪洞では温度を保つのに役立つ。
・焚き火の方法は木が少しくらい濡れていても行えるように練習しておく。

2.バーナーの取扱いについて
 白ガスは金属容器を用い、水と間違わないように色分けし容器はテントの外に置く。
 =予熱、給油の注意=
 メタで充分予熱するが、不完全だと生ガスとススが出てテント内の天井まで届きそうな炎が出る。給油はテント外で行い、器具が冷めてから8分目程入れる。
 テント内では絶対にガソリンを垂らさないように気をつける。「もし、器具から火が噴き出したら」不用意に手で掴んで外に出そうとすると大やけどしたりテント火災になるので慌てずに操作して消火できるか判断する。だめならセーターなど数枚重ねて被せ消火させること。経験のある人は判るだろうが取扱いが悪く、漏れた気化ガスに引火した場合、爆発同様なので身をかわす暇もない。
 「パッキンとスプリング」などの部品は消耗部品なので定期的に交換すること。特にパッキンは圧力と熱により劣化する。
 「タンク内の圧力を抜く場合」テントの外で行うべきであり、タンクが少し温かい程度でも気化ガスが引火しやすい状態であり、近くにローソクなどがある場合や煙草を吸っていると非常に危険だ。まして燃焼中にポンプ部の注油口を開けば自殺するようなもの。
 以上、簡単に燃料の性質や取扱いの説明に留めますが、器具の構造や修理方法は別途に講習を係で実施したいと思います。


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