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刃物ヶ崎山
川田 昭一

山行日 1979年9月29日~30日
メンバー 川田(単独)

 ハンドルを握っている私の他は誰もいない車、我がヘボ車は利根川最上流のダムまで続く林道を喘ぎ喘ぎ登って行く。
 八木沢橋を渡って間もなくの駐車場から1泊2日の予定で「片桐」の重いザックを背負って矢木沢川沿いに付けられた杣道を行く。この杣道も大きな堰堤まで来ると歩きにくいゼンマイ採りの作業道に変わり矢木沢川の滝、ゴルジュなどの悪場を避けて高巻きを繰り返しながら刃物ヶ崎山に入り込む枝沢の少し先まで続いている。
 沢身に入ってすぐ刃物ヶ崎山直下のブッシュ帯に突き上がる二郎次沢の出合が現れる。この二郎次沢は大小7~8個の小滝(3~4m)が掛かっており、大きな滝といえばナメ状の滝7mが1本掛かっているにすぎない平凡な沢で下流は占められ上流もやはり平凡に終わっている。
 稜線直下のブッシュ帯では水こそ涸れているが沢床の溝が急勾配で続いて、お陰でネマガリのヤブ漕ぎなしで稜線に這い出られた。稜線から見る朝日と巻機山の稜線は紅く染まり美しく大きい。
 普段でも大きく見えるであろう山並みがよけいに膨らんで見えるのは紅色が放つ光の具合だろうか?
 稜線に出てからは身を没する密ヤブのヤブ漕ぎは高低差100m、距離500mばかりだったが、約40分を費やして遮るものが何もない頂に立った。駐車場から5時間で来た。
 このピークの周りだけヤブから開放された見晴らしの良い所だ。2年ばかり止めていたタバコをここでまた吸った。


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