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雪の早池峰に一人で
稲田 竹志

山行日 1979年11月1日
メンバー 稲田(単独)

 予想したもののやはり山には雪が。
 前夜のうちに車でここ早池峰登山口のうすゆき山荘前で仮眠するが夜半の強風と降雪で路面凍結の心配があるので、車を200mくらい降ろした。ここは雪ではなく雨が降っていた。また寝直しだ。ところが夜中の2時頃からまた強烈な風のため大木が倒れてきそうな気がして、また車を下の早池峰神社まで降ろす。ほとんど眠れやしない。せっかくのチャンスだがと悔しくなる。ふと、静かなので気がつくと夜空は満天の星、まもなく夜が明け始めた。「しめた、これを行かない手はないな!」と凍結の道を河原坊まで登り直す。早池峰は山そのものはどうってこともないし、最短コースは河原坊より真正面のデンと座った山のど真ん中の沢を辿れば一直線にピークに突き上がる感じの山です。ただこの時はジーパンにジャンパーの軽装なので行けるつもりはなく、途中で引き返すことだろうと思いながら地吹雪の中を歩くのでした。これがやたらと好きでね僕は、マイペースでノロノロと一人気ままに楽しんだのです。誰もいない山頂は自分の足跡を銀世界に印し、一人歩きもいいもんだと浮かれて頂上小屋にあったノートに自分の本音を書いたのが赤っ恥。平日だし天気は良くもないし、こんな日は登山者など誰もいないと予想したのですが、いたのです。随分下山した地点で4人パーティがこっちへ登って来る、しかもトップはスバラシイ美人子ちゃん。「こんにちは、神奈川の方ですね」と薄笑いを浮かべて色々話しかけてくる(登山口の入山者カードに自分の住所氏名とついでにまた下らんことを書いたのでそれを見たな)。僕はガックリ、(ああ小屋に着いたらもっと酷いの見られるなと思うと....)


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