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後立山縦走
田代 美代子

 私にとって後立山縦走は山へ行くようになって3度目の山行でした。会社の男性3人と私を入れて4人は夏の休暇を利用して出掛けたのです。真新しいザックに靴、これがやけに照れくさかった。
 白馬より八方尾根を使い唐松岳へと1日目の幕営地に着く。この日の夕食はすき焼き、ところが肉は塩味、野菜は甘くコントラストの味。次の日の昼食はおにぎりに梅干し入っていなければ塩気もない何と寂しいおにぎり、仕方なくレモンを噛りながら食べた五竜岳山頂。
 八方キレットは読んでのごとく痩せ尾根を鉈で切りつけたような所で、そこの鎖や梯子が何ヶ所か掛けられていました。そのキレットを越える時の出来事です。大きな一枚岩がありそこにも鎖が付けられていたのですが、先輩が鎖にも掴まらずトントンと登っていったので私も登れるだろうと思い岩に取り付いた途端、後ろにも先にも動くことができなくなってしまい仕方なく左側にあった鎖を掴んだと同時に後ろへガックン。あっ!!落ちた....と思ったのですが、しっかりと鎖を握りしめていたのです。その後は自分の足で登っているのに足が地に着かない感じで心臓がドキドキ、落ち着かせるためにちょっと休憩。難所を越えたらキレット小屋に到着、今日の予定はここまで。小屋の正面に剱岳が聳え、夕日がちょうど剱岳にかかりまるで燃えているかのようでいつまでも眺めていたかったが明日早く発つので仕方なく床に就く。
 3日目は鹿島槍を目指して出発です、やがて急な登りばかりが続く。3時間ぐらいで山頂に着いた。「やった!!バンザイ....」オレンジが美味しかった。先輩が、「あれが白山、立山、剱岳、私達が登ってきた五竜、穂高に槍ヶ岳、南アルプス」と教えてくれた。雲海の彼方に見える富士山、360度の素晴らしい眺めに目を見張るばかりで登りの辛いことなど忘れてしまいました。
 鹿島槍を後に、布引、爺ヶ岳、扇沢へと今度は是非剱岳へ登りたいと思い無事下山。大町で飲んだビールがとても美味しかった。
 私にとって今回の山行がきっかけとなり三峰に入ったので忘れられない山行でした。

谷川岳東尾根

 三峰に入会して初めての春山合宿は雨に降られ最終日の東尾根アタックも中止になり、何となく心残りということで5月6日須貝リーダーに浅野、島田、私と4人でマチガ沢を出発。雪の上を歩くのは慣れないせいか思うように登れず私達の登って行く隣りの沢の方から音がする、何かと見ると落石、私達の所でなくて良かったね。気をつけて登ろうと声を掛け合う。
 草付き場に出る、リーダーがルートがそれたらしいとのことで雪渓を横切ることになったのですが、クレバスになっているので須貝さんがトップで渡りザイルを張り一人一人渡る。私は一歩一歩慎重に行くと、あっ!滑ってしまい元の体勢をとるのに一苦労、時間を随分取ってしまったようです。これよりは岩ばかりなので三点確保を確実に登って行く、天候にも恵まれ、私はヨーロッパアルプスでも登っているような気分になりました(ちょっとオーバーかなあ)。
 今度は最後の登り、2人一組になりアンザイレンで登って行く、この方法は合宿で教わったばかりでしたのでザイル操作も完了出発。ゆっくりと一歩一歩登って行く、遂に尾根に出ました。記念撮影、皆満足そう顔で西黒尾根を下山。今回の山行は雪の上を歩き、草付きを登り、岩場を登り、一度にいろんなことをやってしまいましたので自分でもビックリしてしまいました。
 良きリーダーと仲間がいることに今回の山行ばかりでなく三峰に入会したことが嬉しく思いました。


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