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秋の集中登山 檜洞丸
丹沢主脈縦走
原口 藤雄

山行日 1979年10月21日
メンバー 原口(単独)

 犬越路を抜けて道志温泉の湯宿に一泊し菜畑山に登って以来の丹沢である。10数年振りの恋人に逢う想いがする。それは期待と不安が入り混じったものでした。中年太りになっているのかな、それとも知性に増々磨きがかかった奥様か、教育ママゴンと呼ばれる人にか、或いはヒステリーの権化となっているかも知れません。しかし、丹沢の山々は少しも変わっていなかった。前夜発の丹沢号はガラガラで渋沢には4人の登山者しか降りませんでした。接続のバスで大倉へ、このバスも昭和35年3月開通当時は20円でしたが今では100円になりました。当時はそのバス代さえも節約して山行の足しにしたものでした。大倉尾根の登り口でライトを点灯して登り出す。
 眼下に渋沢の町や相模の町々の灯りがキラキラと光り輝いている。程なく見晴茶屋になりその裏からちょっと急な登りとなり堀山荘の前を通り小草平へと登って行く。露岩と赤土の間を登るようになる。先日の台風の雨を吸って滑りやすくなっている。やがて花立山荘に着く。ここでオカンした。約2時間くらいでツェルトが明るくなり御来光に迎えられ身支度をする。江ノ島や三浦半島、房総までが一望され、背後には富士の荘厳な姿が見い出される。一投足で塔ヶ岳頂上である。快適な笹原の竜ヶ馬場を過ぎると丹沢山である。右下にはみやま山荘があり左へ下る小さな登り下りをしながら展望を楽しむ。南アルプスの全山が一望でき、箱根の山々、天城連山が道志山塊の向こうに望まれる。ゆるい登りを続けると丹沢最高峰、蛭ヶ岳に10時に到着。山頂で食事をしていると野生の鹿がエサをねだってまとわりついてきた。指導標を見ると2時間50分で檜洞丸とある。さあ大変、12時の集合に間に合わない。食事もそこそこに切り上げ急斜面をジグザグに下る。下り切ると大ダルミである。やがて臼ヶ岳へ登り着く。ブナの巨木に覆われた静かな山でした。2、3の小さな突起を越えていくと檜洞への急登が始まる。四十路も近くなると2時間ものノンストップは堪えてくる。やがて傾斜もゆるくなると青ヶ岳山荘が見えてきた。まもなく檜洞丸である。頂上は見えなくとも播磨君の大きな声が頂上を知らせてくれる。


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