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大丸温泉から三本槍ヶ岳
鈴木 一利

山行日 1980年6月14日~16日
メンバー (L)鈴木(一)、相沢

 土曜の午後、暑いくらいの特急列車の車内の人となり黒磯へ着く。うまくバスに接続して今夜の宿となる温泉に着くと連絡してあったので番頭さんが「まだかな」という感じで待っていてくれた。
 誰もいない浴場へ一人で浸かりながら明日の天気が気になる。夕食前にテレビで天気予報を見てもはっきりせず、つい一杯のつもりが二杯になる。遂には朝食を食べてから出発しようと落ち着いてしまう。
 朝、目が覚めれば天気は快晴で急いで弁当を頼み出発の準備をする。
 予定の甲子温泉へ向けて大丸温泉からアスファルトの道をテクテク歩き出す。途中、車が私達を何台も追い抜いていく度に乗せてくれないかなと期待すれども....。
 アスファルト道路が切れると通行止めの林道になるすぐ手前を左側へ入り、峰ノ茶屋までの登りにかかる。途中、先程の林道と何度か交わる。
 道はだんだん草木もなくなり火山特有の道になり左に茶臼岳、右に朝日岳が見えその山容は対称的である。茶臼岳の脇を緩やかに登り切ると峰ノ茶屋に着く。
 目の前に茶臼岳が大きく聳え噴煙を上げている景色を背に朝日岳へ向かう。岩稜の道を強い日差しを受けて登って行く。岩は脆く赤茶けた岩肌は火山帯にいるのを改めて感じさせる。
 朝日岳山頂から奥鬼怒の山々、そして会津の山々も見える。前日、三斗小屋へ泊まったであろう人達が熊見曽根へ登ってくるのがわかる。朝日岳山頂で美味しいオレンジと記念写真を撮って縦走路の分岐に戻る。
 分岐を熊見曽根へ向かっていくと外人のグループに会う。日本語あり英語ありの挨拶が交わされる。同行の相沢さんは得意の英語で会話する。横須賀から来ているとのこと。熊見曽根に着くと、またまた外人グループに会う。裸で日光浴する人、話をしている人など思い思いの姿で山の中の一時を過ごしている。この岩稜が外人色、一色に塗りつぶされている。そこにいる私達日本人、二人は一瞬ヨーロッパアルプスにいるような気分になる。雪はないけれど、もしヨーロッパアルプスに行けばこんな感じかなぁーと感激!
 それからは草木が茂る道を北上する。三本槍に着いた頃、私がへばってしまい途中の清水平まで往路を戻り、中の大倉尾根で北温泉に下ることにする。
 途中の中の大倉尾根で笹の群生している所に水晶のような色をした花を見つけ写真に収める。名は何というのだろう、道の傍らの大木の根元にひっそり咲いている。よほど注意していないと見過ごしてしまう。
 北温泉でまた外人グループと出会い、一路バス停へ。バス停には店がないのでビールが買えずがっかりしながらバスの中の人となる。
 途中のバス営業所でビールを仕入れ飲み干す、何と美味いことか咽をチリチリと焼くように入っていく、一緒に山の楽しい思い出も胸の中へ。
 これでやっと今回の山行が終わったが、今度は甲子温泉まで必ず縦走しよう。


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