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白毛門
中村 順

山行日 1980年6月8日
メンバー (L)山本、中村、村山

 始めは先発組を追って浅草岳へ行く予定でしたが山菜より山登りしたいが、土曜の夜行日帰りはきついのと交通費、天候等の関係で山本氏の発案により白毛門、朝日岳、宝川温泉というコースにしました。天候は思わしくなく長岡行きに乗ったのは山本、村山、そして私の三人でした。午前3時過ぎに土合に着き、外へ出てみると雨こそ降ってないものの天気は良くありません。取り敢えず白毛門までと暗い中を歩き出し、途中右に折れて尾根取付きの道に入ると後は誰も登ってこない三人だけとなりランプだけではちょっときつい林の中をひたすら登って行きましたが、楽しみにしていた周りの山々や谷川岳の岩場は全く見えず、下から3時間ほどで白毛門の頂上に到着しましたがこの時には草木の露でかなり濡れており、しかも雨が時折降り出す天気となり、せっかくの日曜で私にとって半年以上山に来ていなかったのにと恨めしいことでした。頂上でどうしようかと言っている時、笠ヶ岳の方から男性が一人で来て「朝、土合から登って笠ヶ岳まで行ってきたが、寒くてしょうがないから引き返すところだ」とのこと。それならと思うがまだ時刻も朝の6時過ぎなので笠ヶ岳までということにする。今度は先程までと違って低い木の中を抜けると草付きの広い尾根となり、雨で何も見えなくても気持ちが良い。「笠ヶ岳まで行ったなんてウソだろう、俺達だってそんなに遅くは歩いていないんだから、途中で戻ってきたんだろう」などと言い合いながらヤブの中を歩いていくと、残雪もありひんやりしてくるし、足にまとわり付くヤブで足元はびっしょりになる。そして7時過ぎに笠ヶ岳に着くと、ここはまた風が強くて寒くてしょうがない。朝食か昼食かはっきりしないが先ず缶ビールで一杯、震えながら食事を摂っていると強風が一瞬雲の切れ間を作り前方に朝日岳が周りに点々と残雪をつけて美しく見えたがすぐに消される。記念写真(いかにも寒そうに写っている)を撮って一気に土合までもと来た道を下りました。下り道では続々と下から登ってくる人に出会い、よく雨の中を登るものだと感心しながらすれ違いました。
 下界は雨が止んでいましたが濡れているのと足元が泥だらけなので駅の洗い場で落とし酒も飲まず、食事も食べずに午前11時過ぎの電車で帰りました。


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