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雪上訓練・富士山 その1
大野 芳彦

山行日 1980年4月23日~24日
メンバー (L)広瀬、伊藤、江村(皦)、川又、高木、大野、国行、岡田、岡部、村山

 富士山での雪上訓練が12月23日~24日に行われましたが、雪が佐藤小屋付近にはなく八合目半ぐらいまで登り訓練した。
 内容は冬山(正月合宿)に対しての訓練でアイゼンを着用してのキックステップおよびトラバース練習後、滑落停止のタイミングというかピックの打ち込み方を覚えるための練習を3、4回行った。結局ルームで話したことのようにはいかず、特にアンザイレン、確保、カッティング等は練習せずに訓練を終わり砂走りを下だった。
 帰りの途中、風穴を見学。入口より160mほど入ってみた。中は洞窟に入っていくようなもので段々と上下左右ともに狭く温度も下がってくるもので、初めてだったのでよく内部を観察できませんでしたが、アイゼンとヘルメットおよび手袋は着用したほうが安全のようです。もう一度行ってみたい所が1ヶ所増えました。

雪上訓練・富士山 その2
広瀬 昭男

 12月22日、夜11時30分頃富士吉田に着く。1年振りの雪上訓練で、昨年の訓練を思い出しつつタクシーで馬返しまで行く。今回も五合目まで夜間登山だ。自分は体調も良くコースも知っていたので楽であった。アルコールを少し余分に摂取した人、初めての人等々にとっては辛かったことでしょう。昨年と同じ場所に幕営。
 翌日、残念ながら行きが少ない。それでも少ない雪を求めて上へ上へ登って行く。
 11月初旬、中央アルプス縦走の時は雪で苦労させられたのに、ここ日本一の富士山には雪がほとんどない。
 雪を求めて八合五勺まで登ってきてしまった。夏に落石で大量の死者を出したことを思い出し身も心も引き締まる。すると昼食中突然「ラック」の叫び声。見れば人の頭くらいの大きさの落石が大きな音を轟かせて奈落の底へと消えていった。
 身支度を済ませイザ本番。アイゼンの着脱は手袋をしたままでも速やかに出来るよう各自日頃から練習しておくと良いだろう。
 練習内容はアイゼンでの登下降、トラバース、斜登降などのごく基本的なこと、滑落停止訓練です。
 訓練中にも落石は頻繁に起こり、その都度訓練を中止して落石の収まるのを待った。遂に我々の所へも拳半分くらいの大きさの落石がきた。「ラック」の掛け声とともに皆避け、大野さんの背中の上を「ヒュー」と飛び越えていった。
 他のパーティではアンザイレンの失敗で三人がザイルに繋がったまま滑落してしまった。夏の富士さんも地獄の様相だったが今も似たようなものだ。
 1時間くらいの練習で早々と引き上げることにした。これらの落石は自然落石ではなく人為的なのである。
 最終日、今日は練習せず精進口へ下山することに計画変更する。
 スバルライン五合目からはとても長く随分歩いた気がする。途中、富士風穴でケービングなどして楽しむ。青木ヶ原の樹海は気味が悪かった。警察署からの自殺予防用の看板も数枚見かけた。
 午後4時過ぎ、やっと全員無事に下山できました。


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