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月山 山菜採り山行
村山 久美子

山行日 1981年6月13日~14日
メンバー (L)江村(皦)、江村(真)、播磨、伊藤、原口、川又、植村、安田、渡辺、麻生、村山、鈴木(嶽)、勝部、須貝夫人

 6月12日、荻窪より車2台、合宿並みの人数で出発。途中で播磨さんを拾い、川田さんの見送りを受け、山形には早朝の4時頃到着する。皆の言う通り良く眠っていたせいか、爽やかな目覚めである。運転された方たちご苦労様でした。兆子さん達との待ち合わせの時間まで大分間があるので迎えに行くことになる。判りにくい道を走り回っているとニコニコしながら鈴木さんが現れた。そして懐かしい須貝夫妻に再会、お茶やお饅頭をごちそうになったうえ、差し入れまでもいただいてしまった。山形の住人2名を乗せ、最後に立ち寄った原口さんの奥様の実家でも漬物や山菜など沢山いただいた。大好きなキュウリの漬物、早速車の中でポリポリかじる。車が走る方向には思っていた以上に残雪の多い白い山が見える。
 やがてキャンプ場に到着。幕営地がキャンプ場だとこの時知った。生活の仕方が私の頭の中で決まる。天幕を張り、ヤブ蚊の飛び交う中で朝食を摂り、いよいよ月山へ出発。
 車でスキー場まで入りリフトで一登り、そこは広いゲレンデの中だった。6月の雪を踏みしめて長いトラバースの開始。油断するとズルッ、ドキンッ、前者の踏み跡ばかりを追っていた。やっとそこから開放された時、山や花を見る余裕ができた。淡紅紫色のシラネアオイ、黄花のミヤマキンバイ。これは何の花?と江村さんに聞いて本を開いてた。本で調べるのが先なのだけど....。しばらく行くとシャクナゲの葉の下にコケモモがいた。残念ながら花はまだ咲いていなかったが、きっともうじき咲くだろう。コケモモは名前からして可愛いので大好きな植物。秋には身を採りまくってジャムを作ろうと思っている。山頂直下で昼食を摂り、空身で山頂へ向かう。石段を登って広々とした山頂からの眺めはさすが気持ちが良い。雪が下に見える。ということはいつだって感動である。湿原地のような所にはショウジョウバカマが咲いていた。ピンクの小さな花がとてもたくましく見えた。下山は荷物を置いた所まで戻りスキー組と別れる。リフト乗り場を目指して下っていく。急坂にびくついてトラバース気味に降りたりしながら皆んなを追いかける。山頂には現れず、一人山を楽しんでいた渡辺さんらしき姿に手を振ると気がついて手を振られた。スキー組は気持ちよさそうに滑っていく。いいなあ、来年こそは私も、といつも思うのだけれど。川又君のスキーの楽しみにしていたがついに見られず、残念であった。来年の冬はぜひ見たいものだ。頑張ろうね。
 さて、いよいよ山菜採りである。山菜のありそうな所で車を停め、数人ずつ別れてヤブの中へ入っていく。採られた跡ばかりだったが、何とか食べられそうなものを手当たり次第袋に入れた。小雨から強い雨に変わりキャンプ場へ引き上げる。水場に並んだ山菜。皆んな頑張ったんだなあー。先輩の手付きを見ながら私もウドの皮を剥いた。各種の天ぷらやおひたし、ウドの味噌和え等。山菜特有の青臭さが何とも言えずいい。天ぷらは本当に美味しい。特にハリキリの味は忘れられない。
 勢いよく燃え続ける焚き火のそばに、そろりそろりと人が集まる。いつものことながらお酒がほどよく(相当)入り賑やかさの絶えない人達を無視して(ゴメンネ)火を見ていると静かな気持ちになれる。原口さんや江村さんの言葉はこの火と同じように私の心を素直にさせてくださった。
 翌日。3ヶ所車を移動させ、お土産の山菜を採り歩く。皆んな大分目が良くなったようで「あった」という声と一緒にバリバリと小枝の折れる音がヤブの中より聞こえる。私にはもう一度の山行が必要のようだ。
 まあまあの天気に恵まれたのんびり山行。しばらくは天ぷらを食べなくてもよいなあと思いながら一人電車の中にて....。

月山
勝部 辰朗

 今回の山行が初参加でした。今までは一人でハイキングコースをただ歩いて廻るだけの山旅しかやったことのない僕にとって、皆でワイワイ騒ぎながら山菜を採って、それをつまみに酒を飲むという山行は実に新鮮でした。また、見習い会員の僕としては参加者の多い今回は会に溶け込むいい機会になりました。
 12日夜9時、荻窪をワゴンと伊藤さんの車2台で目的地、月山へと向かった。
 山形で鈴木さん、須貝夫人と合流し7時半頃幕営地に到着。テントを張り腹ごしらえをして山頂へ登り始める。スキー場に入り雪の深さに驚いた。8月頃までスキーができるという。ある所にはあるものだと思った。リフトを降りて雪の斜面をトラバースし稜線に出て、道端の花を楽しみながら登り山頂の手前で昼食を摂った。
 空はどんよりとした雲に覆われ風もなく蒸し暑い。山頂まで先ほどの急登はなかったが、体が重くやけにかったるかった。
 山頂からの下りはスキー隊と歩き隊に分かれたがここで大きなドジに気が付いた。僕の分のスキーがあったのにないものと勘違いをし板を持たずに登ってきてしまった。駐車場に置きっ放しだ。なくなっていたらどうしようかと下りながら心配でしょうがなかった。スキー隊がスイスイ滑って行くのを横目にトボトボ、イジイジと下って行った。板は盗まれずに車に立てかけてあったのでホッとした。
 山菜採りにかかったがサッパリ判らず戦果は上がらない。だが幕営地で皆の採ってきた山菜の選別を手伝っているうちに多少判るようになってきた。
 さて、いよいよ待望の宴会が始まった。江村(弟)さんの揚げたてのやつにかぶりつく。うまい!エビの天ぷらが何だい!ってな気になる。これで生ビールでもあれば言うことないが、これは贅沢というものだろう。とても消化しきれないと思っていた程あった酒がほとんどなくなっているのに気が付き唖然とする。
 翌朝、テントをたたみ、お土産用の山菜採りにかかった。味をしめたので探す意欲が機能とは全く違ってきた。いいコシアブラを見つけた時などは、いい年をして子供のように喜んでしまった。
 帰る途中で、また得意のドジがでてしまった。山形駅で昼食を摂ることになったが、ここでこともあろうに迷子になったのだ。捜索隊が出る始末で全くとんでもない奴が参加したものだ。
 皆さんに心配をかけ申し訳ありませんでした。この紙面を借りてお詫びいたします。これに懲りず長い目でご指導賜らんことを切にお願い申し上げます。


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