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春山合宿に参加して
O.B 鈴木 竹次郎

山行日 1981年5月3日~5日
メンバー (L)播磨、川田、伊藤、村山、鈴木(竹)、鈴木(嶽)、江村(真)

 この年になって(59才)春山合宿の北アルプスに参加するとは思ってもみませんでした。意を決するにも大分時間がかかりました。三峰の諸兄姉の皆様には色々お世話様になりありがとう御座いました。感銘深き良き思い出となりました。
 春山にしては残雪も豊富で冬山に等しい厳しさでした。アイゼンを付けて雪中をサクサクと、いやキュキュ、いやバリバリかな、とても筆では表現できないので苦しいところだ。何と言っても雪を踏んで尾根を歩く感触は作家なら美文で飾るだろうし、画家なら麗筆で描くと思うが、私は写真によって表現したかったのだが、何分にも老骨に鞭打って命がけの登頂なので経験はあると言っても若い頃の行動とは違い体力もいうこともきかず行動力も劣り、リズムが狂いっぱなしのため途中で挫折でもしたらグループの皆様に迷惑をかけなければならないので、写真どころでなく一歩一歩が慎重の連続であった。
 幾度かベースキャンプに戻ろうかと思いつつも、半ば行く所まで行けと開き直りの心境でした。動揺を抑え抑えしているうちに苦痛は薄らぎグループに溶け込むことができました。特にリーダーの心配りには深く感謝しております。
 アルプスというと一度は憧れる山です。特に雪が朝陽に反射して輝く頂はいつまでも忘れられません。雪の妙味というか妙力というか、取り憑かれた者のみが知る喜びですね、どうして苦労して登るのか不思議なもので、山の魔力に惹かれるのか、三角点を踏むと誇らしい気持ちになるのか、他の物に代えがたい気を起こさせるのか、煌めくものに対して心が惹かれるのか、一切が現実を離れ味わい得ない感覚を覚える喜びを起こさせてくれることがあるのでしょう。年の差を離れひたすらに山への心が惹かれる者の心境かも知れません。
 とりとめのないことばかり書いて申し訳ありません。若い方々がとても明るく和気あいあいのうちに行動が共に出来たので一番嬉しく思いました。私どもO.Bの若い時よりも今の若い方のリーダーシップには頼もしい限りです。
 ザイルの捌き、登山用具の使い方、教える方もされる方も実に真面目に訓練している様子には明るい希望がもてました。私もテントなどの張り方を教わりました。
 大分晩酌も効いてきましたので筆を置きますが、また皆さんと是非一緒したいと思います。


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