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その3 赤岳主稜登攀
勝部 辰朗

山行日 1981年9月27日
メンバー (L)田原、勝部

 岩登り隊編入がルームで決まった時、期待と不安でジュースを持っていた手が思わず震えた。文三郎尾根の遭難碑付近より取付いた。朝は快晴だったがこの地点に着いた時はすっかり雲の中に入り寒い。ツェルトに入り軽い食事を摂りながら田原さんから細かい注意を受ける。なにせ初めての岩登り、一言一句聞き逃すまいと思い、また田原さんの装備の扱い方を見つめていた。
 一番怖かったのは取付き点までのトラバースで一歩踏むごとにガラガラと岩が崩れ落ちていった。体の固さが自分でも判る。登攀に入って思ったほど怖い所はなかったが浮石だらけで石を落とさないよう随分注意したが、かなりの浮石を落としてしまった。また、メガネがガスのため曇って実に参った。
 頂上で皆の笑顔に迎えられた時は本当に嬉しかった。岩登りの魅力に憑りつかれそうで嫌な感じだ。

〈コースタイム〉
美濃戸口鉱泉経由 → 行者小屋(2時間30分) → 取付き点(40分) → 頂上(2時間)


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