2月28日、岸記念体育会館にて机上講習、21日、谷川マチガ沢にて実技講習が都岳連遭難対策委員会の主催で行われた。
講習内容については昨年とほぼ同様のもので会報243号の広瀬氏の報告を参照してもらいたい。以下、気づいた点について報告します。
1. | ザイルの結び方について | ||
(ⅰ) | エイト結び、フィッシャーマン結びの末端は原則としてザイル径の10倍の長さを残すこと。 | ||
(ⅱ) | イタリアンヒッチについて スノーボートを斜面より下ろす際、一人でも充分に行うことができる。 | ||
2. | スノーアンカーについて | ||
(ⅰ) | スノーアンカーはあくまで岩や樹木に支点が求められない時にのみ使う。 | ||
(ⅱ) | ザラメ雪や粉雪では有効な支点となり得ない。 | ||
(ⅲ) | 確保に使う時は衝撃を避けるため必ず制動確保を行う。 | ||
(ⅳ) | ザックをアンカーとして使う時はザックの中に雪を詰め、ひょうたん形にし真ん中にグローブヒッチでセットする。 | ||
(ⅴ) | アンカーの荷重方向の雪をしっかり踏み固めることが大切である。 | ||
(ⅵ) | アンカーを3点取り、荷重を分散させることにより確実な支点となる。 | ||
3. | 雪上搬送について | ||
(ⅰ) | 搬送ルートの斜度、雪質、雪崩の危険、ブッシュ等状況を充分に確認すること。 | ||
(ⅱ) | スノーボート、柴ゾリによる搬送は非常に体力を必要とするので、その時のパーティの実力を正確に判断しゆっくりでも良いから確実に行う。 | ||
4. | 雪崩埋没者の捜索について | ||
(ⅰ) | 捜索の手順 | ||
(a) | 雪崩の発生→残りのメンバーを安全地帯へ移す。 | ||
(b) | 状況の観察→二次雪崩を警戒すると同時に万一発生時の避難場所を決める。埋没位置を予想する。 | ||
(ⅱ) | 救助活動開始 | ||
(a) | 二次雪崩の見張りをたてる。見張り役にはリーダー、サブリーダークラスをたたせ、その人は無闇に動いてはならない。あくまで見張りに徹すること。 | ||
(b) | 雪崩の状況、位置等をスケッチする。 | ||
(c) | 埋没者の名前を呼んでみる。これによって埋没者自身が気がついたり、元気づけることができる。 | ||
(d) | 手足や道具を使い雪をかき回してみる。 | ||
(e) | 雪面上で発見された衣類等は必ずしも埋没者の流されたルートを示さない。重いものはある程度手がかりになる。 | ||
(f) | 以上の一次創作の結果、発見されない場合はゾンデ棒を使用する。 | ||
(g) | ゾンデはあくまで二次捜索である。 | ||
(h) | ゾンデ棒は真っ直ぐ、静かに自分の体重をかけるようにして刺す。 | ||
(i) | 号令をかける人が大切。また号令によく従い確実に行うようにする。 | ||
5. | 雪洞の掘り方について | ||
(ⅰ) | 雪洞は多少つらくても充分な広さのものを作るよう努力すること。一晩を過ごすのだから足を伸ばせるくらいのものにする。 |
以上の実技講習は当初マチガ沢で行われる予定だったが、雪が多かったのでマチガ沢へ向かう途中の山腹を使って行われた。その分、講習に多くの時間をとることができた。天候は昨年は吹雪だったそうだが、今年は時々晴れ間も見えるまずまずの天気、汗をかきながらの講習で実りのあるものになったと思う。