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冬山合宿・中央アルプス その2 B隊
伊藤 光男

山行日 1982年3月21日~22日
メンバー (L)伊藤、中村、高木、川又、増田、桑名、播磨、坂田、村山

 3月21日5時30分、駒ヶ根駅に着く。一番バスが来るまで少々仮眠する。監督指導員に登山届を出し、色々話を聞いていると一番バスが来る。天気は相変わらずミゾレ混じりの雨が降っている。
 しらび平に着き、例の第1回の交信をとる。あまり入らず苦労する。2~3回ずらしずらし空いたところでロープウェイに乗り込む。途中いたる所で雪崩が見受けられ嫌な感じである。10分くらいで千畳敷に着く。全く労せずして2000m稼ぐことができ、非常に便利である。
 雪とガスで視界がきかず全員天気待ちということで休憩させる。10時頃ガスもなくなり稜線が見えるようになり雪も小降りになる。A隊が稜線にいるのと1時間くらいで小屋(B.C)まで行けるので行動中止を取り敢えず止め、A隊と合流しようと決断し全員完全装備を付けさせ第2回の目の更新をする。交信を終わるとすぐ出発する。この時間になると4~5組のパーティも続々と出発して行く。
 10時45分、中村君をトップに播磨、坂田、川又、村山、高木、増田、桑名、伊藤という順に、坂田さんは川又君に面倒を見てもらう。夏道より100m下にトレースが付いているのでそれを利用する。アイゼンに雪が付き不安定歩行なので注意しながら進む。危険地帯なので一刻も早く通過したいのだが、突然「ドー」という音が。振り向くと同時に「なだれ!がきた」と大声で怒鳴る。しかし足元をすくわれてしまった。5~8秒経ち「モートー、モートー」とコールをすると上部2mの所で桑名君が埋まってもがいている、急いで掘り出してやる。また上部に7名全員があ然と立っている。全員無事であることが判りほっとする。雪崩の規模としては幅20m、長さ50m、厚さ10~20cmくらいの乾燥雪崩で比較的小規模だった。雪崩の中心より少しばかりずれていたのと地形的に安定していたので大事に至らなかったと思う。全員急いで引き上げる。11時10分小屋着。相談の結果、予定は中止し下山してテント泊まりとする。まだトランシーバーの交信時間までだいぶあるのでゆっくり小屋にて昼食とする。12時35分、第3回目の交信をする。交信内容、11時0分雪崩発生。B隊全員無事!全員下山する。A隊も気をつけて、了解。という内容である。13時、なぜか風雪が強くなりロープウェイが動かない、最悪の天気となる。14時30分頃、駒ヶ根鉱泉でバスを下車したがテント場が使えず、売店の人に頼みバス亭に近い駐車場にテントを張ることにした。しかしその傍に立派な物置小屋が開いていたのでその小屋を借り、今夜の食事のメニューである牡蠣鍋とアルコールで全員夜遅くまでダベル(反省など)。
 今回の山行で気付いた点、また今後のために反省します。やはり悪天候の際の行動を起こしたことが又起こるべき状態であったこと、それと雪崩の遭難を予防するため、雪崩と真剣に取り組む必要があると思う。今回の山行ではあまり対策をしないまま冬山に入山した、どこを突かれてもボロを出さない対策を立てたい。それと地形、積雪、天候の影響などの雪崩知識が少しばかり不十分だったこと、今後はこの経験を活かし事故を起こさないよう更に勉強したいと思う。今回はリーダーとして自分の判断の甘さのためご迷惑をかけ深く深くお詫びいたします。また、A隊の皆様にも心配をかけ誠に申し訳なく思っています。


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