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赤十字救急法初級
岡部 整子

 去る、6月7日より15日までの日曜を除く8日間、岸体育館にて都岳連主催、日赤協力の救急法の講習会が実施された。
 講習は夕方6時から9時までで前半は机上講習、後半は実技講習となっており、最終日には筆記、実技の試験が行われた。
 内容としては大別すると、(1)救急法について、(2)救急蘇生法と止血、(3)けが、(4)急病、(5)救護、となりそれらに付随して実技が加わる形のものでした。その中より、いくつかを今回は列記しておきます。

救急法とは(赤十字救急法教本より)
病気やけがや災害から自分自身を守り、急病人やけが人を正しく救助して医師に渡すまでの応急処置をいう。
救急法実施上の一般的注意
大出血、呼吸停止、意識障害、服毒などの患者、また大量発生時の緊急性の高い患者については直ちに処置を施す。
患者の見方と扱い方
(1)患者の状態と観察
大出血、呼吸、脈拍、意識、顔色を調べる。”直ちに処置すべき傷病”であるか区別する。患者をよく観察し話しかけ患者に直接触れてみて、脈拍の状態や熱の有無を調べ、呼吸音を聞く。傷、骨折、打撲などの状態、出血の有無、痛みの部位、程度、手足が動くかどうか、傷や病気の起こり方や原因などについてよく注意し観察する。
(2)患者の寝かせ方
(ⅰ)意識有ーー患者に聞きながら最も楽な体位。
(ⅱ)意識無ーー気道確保に注意して水平位、顔色の青い時は足の上がる体位、赤い時は頭の上がる体位がよい。頭を打っている場合は水平位、また吐き気のある患者は横向き、もしくはうつ伏せにする。
(ⅲ)必要に応じ保温、および加温する。その他患者への力づけ、傷票作成、連絡、通報も忘れてはならない。
救急蘇生法と止血
(1)蘇生法
呼吸停止または心臓停止した場合、8~10分くらいで死に至るのでその間に蘇生法を施す。
(ⅰ)処理(呼吸停止の場合)
気道確保ーー気道体の異物を除去=固形の場合は指で取る。液体の場合、指を入れ吐き出させる。または背中を4回叩く。その他、(a)上腹部の圧迫、(b)側部の圧迫、(a)と(b)を併用する。異物の他、舌根沈下による気道閉塞の場合、気道確保の方法としては頭部後屈、下顎挙上、頭側からの下顎挙上の三つがある。
気道確保後、自発呼吸が停止している場合、人工呼吸を施す。呼吸法としては、口対口人工呼吸と用手呼吸法の二種類がある。方法は最初の4回は速く強く反復し、以後は5秒に1回くらいの割合で繰り返す。
(ⅱ)処理(心臓停止・瀕死の場合)
人工呼吸と同時に心マッサージを行う。一般には気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫心マッサージ、特殊治療という順で行われる。しかし、心停止の判断と救急処置には特別な知識が必要なので、心マッサージの実施は医療関係者などの一部にとどめた方がよい。
(2)止血
人間の全血液量は体重1kg当り80mlで、一時にその1/3以上を失うと生命に危険が生じる。出血に対して止血法は、
(ⅰ)手足であれば、その部分を高く上げる。
(ⅱ)直接圧迫止血ーーガーゼ類で直接押さえて圧迫する。
(ⅲ)間接圧迫止血ーー傷口より上方で動脈を圧迫(止血点)し血液の流れを止める。
(ⅳ)止血帯ーー(ⅰ)~(ⅲ)の方法で不完全な時、また診療までに時間がかかる場合、手足の止血に用いるが安易に行ってはいけない。
鼻出血の場合は鼻を強くつまむ、ガーゼを切って軽く鼻孔に詰め鼻を強くつまむ。
(3)怪我(外傷)、傷ー主として、
(ⅰ)切傷、刺傷、擦過傷がある。傷の処置としては傷口は保護ガーゼで覆う、泥まみれの時は水道水などで洗う。切傷、刺傷は汚れを血とともに取り出す目的で絞り出してみる。
(ⅱ)打撲ーー安静にして原則として冷やす。
(ⅲ)咬傷ーー傷は清潔にする、毒蛇に咬まれた場合は安静にし手足であれば傷口より上部を縛り早期にナイフ類で牙の跡を長さ1cmくらいに皮膚を切って毒を吸い出す。切るものがなければ、しばらく吸い出し続けた後、血清注射を受ける。
頭、頸、胸、腹の怪我
(1)頭の怪我ーー頭皮の出血は一般の傷の処置に従う。頭皮・頭蓋骨を貫き脳に達する傷の処置はガーゼを広く厚目に当てて大至急医師に診てもらう。
(2)頸の怪我ーー頸部の打撲では呼吸困難、声が出ない、血痰が主な症状、処置としては頸を冷やす。血液を肺に吸い込まないような体位をとらせる。頸部の刺傷、切傷の処置は局所にガーゼ類を当てて圧迫する。
(3)胸の怪我ーー皮膚の怪我では包帯。肋骨などの骨折では、(ⅰ)肋骨が内側に折れている場合、そのままにして医療機関へ。(ⅱ)外側に折れている場合、元の状態に近づけてから包帯で固定。
(4)腹の怪我ーー腹の傷の場合、上向きに寝かせ両膝を立てさせ、腹筋の緊張を緩める。
骨折・捻挫
(1)骨折ーー処置としては全身および骨折部を安静にする。固定する固定法は普通副子を用いる。開放骨折の場合、傷口の上を布で圧迫して出血を止める。傷口は洗わない。
(2)捻挫ーー患部を冷やし安静、走行しなくてはならない場合は、足首の固定包帯をする。
熱傷
Ⅰ度の熱傷(日焼け程度)は冷水で冷やす。Ⅱ、Ⅲ度も冷やす(医療機関に運びます)。
低温による怪我
(1)全身の冷却ーー乾いたものに着替える。周りを暖め、湯たんぽなど用い全身を暖める。設備があれば39~40度の温湯に入れる。
(2)局所の冷却による凍傷ーー凍傷の部分を脇の下、大腿部の間などの皮膚で直接挟み暖め、40度の湯に入れ暖める。注意として凍傷の部分を雪で摩擦したり、布や手で摩擦することは絶対避ける。火に直接当てない。
急病
(1)脳卒中ーー処置としては気道確保、呼吸の障害がある場合は人工呼吸を施す。安静のこと。
(2)心臓の発作ーー楽に呼吸ができる体位をとらせる。気道確保、人工呼吸、その他心臓マッサージ技術者の協力を得る。
(3)腹痛ーー急性腹症の時は誤った手当のために悪化させることもあるので、先ず医師に診せる。
(4)日射病などの暑熱障害ーー日射病、熱射病で体温が高い時は冷水で全身を拭いたり氷枕で頭を冷やす。熱射病、熱痙攣で熱がなく皮膚が冷たい場合は冷やしてはいけない、むしろ保温する。薄い食塩水を飲ませる。
(5)異物ーー棘の場合は皮膚を消毒し、針先をライター類で焼いてから傷の周りを広げ、棘の入った角度に合わせて刺抜きで確実に掴み完全に引き抜く。目の異物は清潔な水の中で目をパチパチさせる。湿らせた綿棒(またはガーゼ)で取る。
救護
(1)包帯ーー巻軸帯、伸縮性包帯、救急絆創膏、三角巾などがある。
(2)保護ガーゼーー効果としては止血、血液分泌物の吸収、感染の防止、疼痛の軽減、保護がある。
(3)三角巾ーー傷の大きさに応じて使用でき、広範囲の傷や間接を包帯するのに適している上、手や腕を吊るのに適している。

 以上、長々と列記しましたが、救急法のお世話にならないように皆さん気をつけましょう。何と言っても講習を受けた私達4名は当てになりません。と言うのも会の皆さんごめんなさい。私達4名試験を受けたのですが、神は平等に私達を見放したのです。
 ちなみに受講者は勝部、植村、安田、岡部でした。尚、4名の名誉のため記すならば、「救急法普通科講習修了証」だけは頂いてきたことを報告しておきます。


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