トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ247号目次

正月合宿 A隊 白峰三山
その1 総括
植村 隆二
山行日 1982年12月30日~1983年1月4日
メンバー (L)植村、伊藤、広瀬、江村(し)、川又、勝部(辰)、片岡、佐藤(明)、柄目

 正月合宿として2年計画で白峰三山と決定されていた。もちろん南アルプスと言えども冬の3000mの縦走である。
 全体計画として縦走の成功はもとよりであるが、冬山合宿というものをどう捉え、計画し準備していくかを私なりに重点を置いていたと言える。
 それは冬山を登るには安全登山であるとか、連れて行ってもらえるからとは考えないで欲しいからだ。冬山の本来の姿は悪天候が常であり、我々社会人山岳会の宿命として許される山行期間は短い。それでも冬山へと志向するならば各自それなりの信念をもっているものと思う。当然、各自が分担されたことについて研究し、それ以外に日頃の努力が重要である。山を楽しむこと自体は素晴らしいことだが、冬の高山や登攀的要素が含まれる時は、それだけでは済まないことを認識して欲しい。
 今回の合宿では10月に第一次偵察、11月にデポ兼第二次偵察を行い、12月に準備会を3回開いた。準備会と言えども各自の担当を持ち寄って検討する余裕がなく、ただあわただしい準備のための準備会になってしまい、本来の研究、討論ができず、ただ個人に頼るという域を出ることができなかったのではないかと思う。
 結果として、冬山として考え得る最高の天候に恵まれ余裕を持って縦走することができたが、行動中の判断には果たしてあれでよかったのかと思われることがあり、今後の反省としたい。
 また当会としては従来のやり方と違って新人を同行したことについても、隊の構成上責任を持ちうると判断したならば、経験として積極的に参加させるべきと考えたからである。詳細は各担当より報告があるので省くが、各自が今回を次のステップへの布石とするためにも食料、装備、デポ、行程と各方面に改善しなければいけないことを多く見出されたことと思う。
 また今後、より困難に立ち向かおうとしている者にとっては、彼のウィンパーの言葉を借りて締めくくりたい。
-登りたければ登りたまえ。しかし、覚えておくことだ。勇気とか力というものは慎重さを欠いたら全くゼロになるのだということを。一瞬であっても、それを無視すれば一生の幸せを破壊することになるかもしれない。決して急ぐな。一歩一歩を見極めてそして初めから終わりのことを考えよ。-

担当
CL 植村
SL 伊藤
会計 伊藤
気象 広瀬
装備 江村、川又
食料 勝部、片岡
記録 佐藤、柄目

追記
縦走隊のためにデポに参加してくださった会員諸氏には、辛い山行でしたが、どうもありがとうございました。

その2
伊藤 光男

 今回の合宿は天気に恵まれ、またメンバーもよい状態でしたのでまあ成功でした。また、自分の都合により集合時間に遅れ、皆様にご迷惑をかけました。幸い甲府駅にて全員と合流し、自分として真に申し訳なく思っています。詳細は参加者全員が原稿を書くことになっていますので、会計関係を次のように報告します。

交通費 25,700円
 甲府~芦安(タクシー 2台 9,200円)
 芦安~夜叉神(マイクロバス 4,500円)
 奈良田~下部(マイクロバス 12,000円)
宿泊費 70,800円
 宿泊料 56,000円
 入浴代 400円
 こたつ代 600円
 その他(ビール、酒) 13,080円
装備費 10,600円(デポの時のガソリン代含む)
食費 56,100円
通信、雑費 300円(下山電話代)

〈コースタイム〉
12/30 夜叉神峠(6:00) → 野立(6:40~7:10) → 下降点(8:40~9:00) → あるき沢橋(10:15~10:25) → 池山尾根(12:55~13:10) → 小屋BC(13:55)
12/31 起床(3:00)、出発(5:30) → 城峰(7:00) → 岩小屋(8:30) → ボーコン頭(9:30~10:30) → 八本歯(11:00) → 稜線分岐(12:30) → 北岳山頂(13:10) → 分岐(13:35~13:50) → BC(14:10)
1/1 起床(4:00)、出発(8:00) → 中白根(8:40) → 間ノ岳(10:00) → 農鳥小屋(11:0) → BC(14:00)
1/2 起床(5:00)、出発(9:00) → 大門沢下降点(9:30) → 小屋(11:25)
1/3 起床(6:30)、出発(9:25) → 八丁平(10:20) → 大コーモリ沢(10:50) → 取水口(11:20) → ダム(12:30~13:00) → 奈良田(13:30)
1/4 奈良田、下部
その3 食当編
勝部 辰朗

 合宿の反省点を列挙するとしたら、それは食当に集中するのではないだろうか。
 その一、デポの失敗。品目選定の誤りによる重量過多で、悲惨なデポ山行を強いる結果となった。
 農協米、酒等の重い物を荷上げしたが、お茶、調味料、行動食などの軽くてかさばるものを上げたほうが良かったと思う。
 また酒は、日本酒程度のアルコール度数では凍ってしまい、融かして飲んでも旨くない。ウィスキーならOK。
 その二、食糧が豪華過ぎた。デポをしたというので豪華なものに変更したため重量が増し、天候に恵まれたこともあり、宴会山行的気分になり、合宿としての厳しさに欠けた。
 その三、予算を考えなかった。予算を考慮に入れなかったために、多少高い食事となった。
 その四、材料の件。キュウリは凍ってしまい使えなかった。リンゴ、玉ネギといったものも今回は暖かかったため使えたが、本来の冬山なら凍って使えなかっただろう。
 その五、連絡の不徹底。食糧買出しは分担した訳だが、デポしたことにより材料全部を買うものと、一部を除いて買うものが出てきた。
 連絡徹底の確認があいまいだったため、2日目の農協米が抜けてしまった。
 結果的に食糧は余ってしまったが、停滞が続くようなら問題となったであろう。
 以上、ちょっと思いついたものでこれだけあった。次回にこの教訓を活かそう。
 後書き。
 今回こんなに軽量でランランの山行ができたのもデポ隊に参加してくれた、川森、牧野、増田、佐藤(明)さん達の協力があったおかげであり、あの快適な縦走気分と、眺望のすばらしさを分けてあげたいと思った。
 デポ協力隊の人達、ごくろうさまでした、またありがとうございました。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ247号目次