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水無川本谷
町田 紀子
山行日 1983年4月23日
メンバー (L)佐藤(明)、川又、町田、三橋、山本、桑名、関谷、牧野、千代田、勝部(辰)、播磨、吉岡、宮沢、伊藤、赤松、井上、高木、今村、佐藤(朋)、高橋(正)、田原、広瀬、新山、塩沢、古矢、市川、岡部、岩崎、棚網

 前の方で「モートー」という叫び声が聞こえてきました。どうやら大倉のキャンプ場に着いたようです。細い坂道を下って行くと、目の前に河原が広がっていました。河原のあちこちにテントが張られ、明りがともり、大勢の人達がキャンプに来ていることがわかります。先に来ていたメンバーの人達は、火を囲んで楽しんでいる雰囲気でおしゃべりをしていました。さて、私達はと言えばたかだか駅から1時間の歩きにめげて足が痛い、眠いと言いながらシュラフに入りました。ところが数時間たつと寒くて目が覚めて眠れなくなりました。テントの外で寝ている人は大丈夫なのかなと思いつつも気付くと朝でした。起床後、各自が持ってきた食料を食べました。家で食べるよりずっとおいしく感じました。
 とうとう出発の時間です。グループ別の名前が代表の人に呼ばれました。私の入ったグループは川又さんをリーダーに、桑名さん、塩沢さん、私の四人です。足下も軽やかに歩き出しました。沢に登るのは生まれて初めてです、ヘルメットやワラジ、地下足袋がいると聞かされていた私は、沢とはいったいどんな所だろうと楽しみでした。戸川林道をもくもく歩いて行くと戸沢の出合に着き、そこで一休みして沢に入りました。ワラジを水に浸して履きました。ワラジを履くまではいかにも頼りなげに見えたのですが、履いてみると石の上に乗っても全く滑らないことがわかりました。滝の横を登ることを直登すると言うこともそこで知りました。リーダーの川又さんは、足が長いせいか飛ぶように石の上を登って行きますが、私ときたら石を踏み外してジャボジャボと川の中にはまってしまいました。F1,F2,F3と調子よく登って行きましたが、F4の時点でホールドが見つからず中途まで登って動けなくなってしまいました。上では「ガンバレ!ガンバレ」が聞こえて、下では「廻った方がいい!降りろ!」前にも後にも進めなくなりました。結局、肩まで水に浸かって這い上がることができました。後で聞くと泣きそうな顔をしていたということです。F8まで楽しく登って行きましたが、詰めの苦しいこと、周りの人達は冗談を言いながら登っているのに私はぜいぜいと言いながら、やっとの思いで登りました。塔ヶ岳の頂上で一休みして帰りは走って下りました。とても楽しい沢登りでした。山岳会の皆さんどうもありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

〈コース〉
戸沢 → 水無川本谷溯行 → 塔ヶ岳 → 大倉尾根 → 大倉キャンプ場


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