山行日 1983年5月21日~22日
メンバー (L)伊藤、岩崎、岡部、牧野、吉岡、川又、加藤、千代田
夜中にタクシーで中川温泉まで入り、10分程先の悪沢出合いで幕営し、明日に備えた。初日は下棚沢へ向けて車道を奥へ進む。箒沢部落を過ぎ西丹沢自然教室の吊橋で対岸に渡り西沢へ入る。
穏やかな流れを何度か渡り返し、下棚の指導標を左へ入ると、すぐにこの沢最大の45mの下棚の滝を迎える。ナメの優美な滝で飛沫をキラキラ輝かせる姿はこの沢の明るさが集約されている。直登は流れの左で丹沢で最悪のルートの一つと聞く。ともかく完登できなくとも取付いてみようということでトップ岩崎、セカンド吉岡で取付いた。二人とも経験が浅いので無理せず、行き詰った所で岩崎君はクライムダウン、僕も練習のためトップザイルにしてもらい、下りはアプザイレンで下った。シャワーを体一杯浴びてズブヌレだけど、陽射しも強く顔は笑で一杯だ。
下棚で1時間程過ごし、伊藤さんの掛け声で一同出発する。左岸の仕事道から大きく高巻き、下棚上に出る。上部もナメ床のとても美しい沢で、水量は少ないが白や茶の岩床の上をやさしく流れて行く。特に途中の四段のナメ滝は、水にきれいに磨かれたスラブの連続で最高に楽しかった。三段目の一枚岩で岩崎がスリップして顔面を打ったりで、岡部さんも牧野さんも僕も結局ザイルに頼って登るはめになってしまった。
逆層の二段15mを僕と岩崎君で登り、女性陣は左岸から高巻く、さらに幾つかの滝を越えると水も消え、ヤブコギとなった。いくら表丹沢に比して入山者が少ないといえ、踏み跡がかすかにあり、それを拾いながら約1時間程で尾根道に出たが、ここで関係のない仕事道に迷い込み少々苦労したが何とか全員無事に畦ガ丸の頂上に到着し、西沢尾根道より西沢本流に下り、往路と同じ道で帰路についた。
川又、千代田、加藤の3名が土曜の夜から合流し8名で悪沢を登る。
F1 10mの左壁を登り、後に出てきたF2 20m、F4 20m、F10 大滝30mの三つはパーティの実力から無理と判断し、高巻きルートをとった。丹沢の沢登り=滝登りと言われる程に滝の登攀にウエートが置かれている。今回のようなトレースの仕方では、本当の遡行とは言い難いかも知れない。しかし、沢登りの経験の少ない者の多い場合は、たとえ高巻きしたとしても沢筋を歩くことにも個人にとっては貴重な経験にもなり得ると思う。
悪沢の流程は短く、その中に数多くの滝をかけるが、沢自体は伐採の枝で埋まっていたりしてそれほど美しいとは言えず、割と暗かった。つめはルンゼ状の岩場を越え、ヤブコギもほとんどなしに尾根道に飛び出し、30分くらいで屏風岩山に到着した。昼食後、大滝沢の林道へ下る道をとり、約1時間30分で出合いに到着し、撤収後最高の楽しみの温泉で汗を流し帰途についた。
自分の力量に合致した登り方が可能だというところに、沢登りの楽しみがあると思います。今回登ることのできなかった幾つかの大きな滝も次回には登れるように、あせらずゆっくりレベルアップに励みたいと思います。良きリーダーの下とても楽しい山旅でした。
下棚沢 | 西丹沢(8:05) → 下棚(9:00~10:20) → 四段ナメ滝(11:20) → 畦ガ丸(15:38) |
悪沢 | 出発(7:05) → 大滝(10:50) → 二俣(11:30) → 屏風岩(13:00) |