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蝶ヶ岳の雨
広瀬 昭男

山行日 1983年7月29日~8月1日
メンバー (L)麻生、安田、鈴木(竹)、広瀬、佐藤(朋)、古矢

 昨年の夏合宿と同様に松本駅で合流する。タクシーに分乗して上高地まで行く。空は青く澄み渡り、心はもう山の中、しかし、微かに絹雲が現われている。もしや雨になるのでは、という予感がその後的中するのである。梓川は梅雨末期の雨でかなり増水して流れも速い。
 2時間で徳沢園着。これからが本番。徳沢沿いに大滝山までが今日の行程です。いつもの如く入山日は不調だ。
 枝沢が多く暑さも加わってついつい沢水を飲んでしまう。これがバテる原因となる。
 いくら歩けども尾根に辿り着かない。地図のコースタイムとは大幅に違っている。羽衣ノ滝が見えてくると、この先急登が待ち受けている。尾根は急なのだが登山道は大きく巻いている為、かえって歩く距離が長く疲れてしまった。
 幕営地からは夕闇迫る夏雲に覆われた憧れの穂高連峰が見渡せる。
 夕食は佐藤朋子さんが心を込めて作ったトン汁です。でも何故か、安田氏と私は食欲がわかず食べられませんでした。
 翌朝、晴れ、雲が多くじきに雨になりそうだ。蝶ヶ岳までの稜線はいたる所お花畑で目を楽しませてくれる。ほぼ時間通り蝶ヶ岳山荘着。ガスが濃くて何も見渡せない。なんとか常念岳の裾が見える程度であった。
 何年も前から登ってみたかった蝶槍を目指す。二重山稜もはっきりとわかる。岩場を登って山頂着。期待した程のところではない。風が弱くムンムンしている。行動食を食べていざ出発という時、一人ダウンの様子。昨日からの疲労でバテぎみ、暫くの間休ませる。これから先どうするか検討した。天候が次第に崩れだしてきている。この先大雨は確実だ。入山前には落雷した登山者のことが新聞を賑わしていたことを思い出した。無理をせず一先ず蝶ヶ岳山荘の幕場へ戻ることにする。
 雨がポツポツ、風も強くなってハダ寒い。山荘に着いた頃は本降り間近だ。早くテントを張ってしまおう。
 設営後、本降り、風強く、このような判断で良かったと思う。すると嵐の中、濡れネズミの登山者達が次から次へとやってきて、一大テント場と化してしまった。何もすることがなく、トランプの大貧民に熱が入る。
 今後、行程をどうするか意見を出し合い検討した結果、上高地へ下山と決定した。皆さん温泉が頭から離れなかったようで・・・・。
 以前、冬合宿で登る予定だった長塀尾根を下山する。上高地からのバスは、日曜日ということもあって大変な混雑でした。
 妙高温泉に一泊し、山の疲れと汗を流してきました。なんとなく、心残りの山行でしたが重荷と暑さに耐えた体力、精神力は次回の山行にきっと生かされるでしょう。


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