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八海山
高橋 千恵子

山行日 1983年8月7日
メンバー (L)勝部、溝手、塩沢、市川、高橋

 8月6日、上野駅集合時間に都合で遅れた私は、皆と合流できるか不安ながらも9番線をうろうろすること15分、そのうち列車も入線してきた。この列車に乗れば間違いないと思い乗り込む。車内をキョロキョロ。やっと勝部さんの顔を捜し当て一安心。車内は混雑もなく楽々座ることができた。
 六日町駅着、7日3時44分、ここで関谷さんと合流することになっているが、関谷さんの姿が見当たらない。家から直接来るということだったが、寝坊でもしたのかな?
 タクシーで山口に向かう。ここで登山靴に履き替えて、5時15分いざ出発。しばらくは車道を行く、これから登る八海山が朝もやの中に薄っすらと見える。と思う間もなく早くも左手をブヨにやられてしまった。二合目神社の左道を塩沢さん先頭に登る。小鳥の声と沢の音を聞きながら登る。タマガツホトトギスの花も咲いている歩きやすい道だ。沢を二つほど渡った所で朝食。6時35分だ。振り返ると四合目の石標があったが、実際はもう少し登った所が本当の四合目だと勝部さんが教えてくれる。何はともあれ朝食、朝食。駅で入れてきた水を捨てて沢の水をポリタン一杯にする。五合目、六合目となるにつれ鎖場が多くなり、登りも急になる。尾根通しの長い道だから展望も開け山並みが見渡せてもいいのだが、今日は朝から曇り空。ガスがかかって展望はない、50分ほど歩いて一本、市川さんが持ってきてくれたオレンジを一人1個づつ食べる。とても美味しい。8時40分、七合目着。ここは屏風道のコースの中でも一番の展望台だとガイドに載っていたが、あまり期待できない。涼しい風も期待できない。七合目からは登っても登っても鎖場がでてくる。こんなに長い鎖場のある山行は初めてだ。登る途中、赤い実をいっぱいつけたアカモノが目に入り、心を和ませてくれる。初めて見る草花である。皆は鎖があっても鎖を使わずどんどん登って行くのに、私ときたら鎖にしがみつき、岩や木の根につかまりながら這い上がって行く始末だ。やっと千本桧小屋が見えてきた。10時15分到着した。小屋の中には意外と多くの登山客の姿があった。一層濃くなったガスで千本桧小屋からの展望はゼロ、これから向かう大日岳までの峰々も全く見えない。もう岩場は終りかと思っていたら、何と登る峰が全て鎖場の岩だらけ、岩壁が切り立ちそのまま谷底へと続く、この時ばかりはガスがかかっていて良かったと思った。鎖場を登っては鎖場を下り、何度か繰り返しているうちに大きく立ちはだかる大日岳が目の前にあった。あまりにも切り立っていて登るのをためらう程で、つい巻道を行きたいなんて口から出てしまう。11時15分大日岳到着。大日岳の頂上には仏像が奉られてあった。立派な釣鐘を鳴らしながら、無事登れたことを喜ぶ。時折り太陽も顔を出すようになり、展望も開けてきた。今日登ってきた道も見える。ここで昼食。溝手さんがお湯を沸かしてコーヒーを入れてくれる。とても美味しい。
 12時、大日岳を後に下山にかかる。先程登った鎖場を降りる。上から覗くと足元がすくむが一歩一歩慎重に降りる。日、月の池分岐より新道のコースを下る。新道のコースは屏風道のコースと違い、雑木林の尾根でとてもいい道だ。しかし太陽が日陰のない尾根道を照らしだんだん暑くなってくる。1時間程歩いたところで一本。暑くて堪らない。暑さのせいにしてはなんだけど、私はもうバテぎみ。尾根道を走り下り、もうすぐという所で私の体力もこれまでか、足を投げ出して30分程休ませてもらう。どうも皆さんご迷惑をおかけしました。それからはゆっくり、ゆっくりの下山にかかる。足下がふらついている。この時考えていたことは、沢の音がするけどまだ遠い感じだなぁー。段々木の種類が違ってきたからもうすぐかなぁー。下山したら車道の両脇を勢いよく流れるあの水に足を入れて眠ってやる。と、こんなことしか考えていませんでした。
 そんなこんなで下り着いた所が、今朝通り過ぎた二合目の神社。14時30分でした。何とそこで迎えてくれたのは、神社に納涼にやってきた人たちの持ってきたスイカ。このスイカの美味しいこと。私はこれで生き返りました。15時5分のバスは見送ることにし、16時27分に決め、神社から山口のバス停まではのんびり歩く。バス停の横を流れる広掘川で水遊びをやっていたら、小出から入って越後三山を縦走してきた川又さんと岡部さんに合流した。大日岳を40分の差で私達が先に下山したことを知った。
 八海山は最高峰でも1778mしかない山ですが、とても険しい山でした。暑さと戦いながらの山行になりましたが、この険しい山に無事登れたのも、皆さんと一緒だからこそです。感謝致します。


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