トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ249号目次

50周年記念訪韓交歓登山
その5 訪韓交歓登山旅行
小林 健二

 朝7時、成田空港集合、有志15名は幼稚園児のようなハシャギぶり、飛行機に乗ってからも窓から見える風景が気になるようで覗き込む。金浦空港に2時間あまりで到着。厳しい税関をやっと通り、出迎えの人達と急行バスでユースホステルへ向かう。町並みは日本とほとんど変わらないが、ハングル文字の看板が韓国という感じである。ユースホステルといっても立派なものでホテルのようだ。部屋は二段ベットが四つあり、庄野さんを除いて二部屋に分かれる。うちのメンバーは田原団長、江村(弟)、桑名、勝部、広瀬さんともう一人と私で賑やかなものだ。昼食は近くの食堂でビールで乾杯してから、冷麺というものを金属製(ステンレス)の大きな器で食べる。麺が春雨か糸コンのようで腰があり大変旨く、もう感激する。
 2日目、今日も暑く33度Cくらいありそうだ。バスで市内観光後、一億兆という大衆食堂での昼食はビール付韓国式フルコースで次から次へと可愛いウエイトレスが料理を運ぶ。12品から13品ぐらい、刺身とご飯を除いて皆辛く、キムチ(唐辛子)料理ばかり。珍しい料理が並び、みんな腹一杯食うけれど半分くらい残ってしまう。もったいないなーとデザートのブドウ「韓国語でプトウという」をバスに持って帰る。いよいよソウル乙支山岳会の人達と合流。デパートで食糧を買う。美人の売子ばかりで三峰の若手「独身者」はもの欲しそう。バスは午後2時頃出発。郊外の湖は山水画のようで美しい、金会長の通訳で三峰、ソウル乙支山岳会員自己紹介をする。ソウル乙支山岳会30数名、若い女性が多くバスの中は賑やかで良い雰囲気である。
 夕闇迫る頃小さな町で夕食、例の冷麺を食べる。スイカはここの雑貨屋で買う、値切ってみるが言葉が全然通じないので、手マネと現金を見せて交渉してやっと値切る。今日の宿はキャンプ場、バンガローは6畳くらいの二部屋。スライドを観賞後、3枚しかない夏蒲団を取り合い寝る。
 3日目、バスで登山口へ、いよいよ山登りである。登って行く人達はほとんどハイキングルック「運動靴にナップザックに半ズボン」。ところが三峰の服装はアルピニストスタイルの登山靴、ニッカズボン、大きなザック、何か異様である。取付きは急登でむし暑い、その上に私は冬用のニッカズボン、暑くて暑くてまいった。午後1時頃に頂上に立つ、国旗がひるがえっていた。眺めは残念ながらガスっていてダメだ。昼食は乙支山岳会員の手作りの「のり巻き」、芯にハムとは驚くがこれがなかなか旨い。デザートは苦労して荷揚げしたスイカ、これも最高でした。
 下山途中から三峰と乙支山岳会の交流が始まり、韓国語の勉強しながら歩く、何でも指さして教えてもらう。リスが登山道に顔を見せる。渓流は日本の昇仙峡の何倍もスケールを大きくしたようできれいである。
 夕方宿にやっと着く、川で頭から足の先まで洗う、気持ちがいいもんだ。交歓会は盛大で酒を飲み交わすうちに、和気合々となり言葉の違いなどは関係なくなり、すばらしいひとときを過す。
 4日目、今日は皆さん二日酔いのせいか食欲がなく、登り始めてからも汗だけ流れ落ち、元気がない。ピークに立ったが曇天で何も見えず記念写真撮影後下山。五才庵という有名な寺の近くで昼食をとる。この頃になると空は晴れ、夏の陽射しがまぶしい。金会長と山、仕事、景気など色々と日本語で話しながら歩く、川がきれいで飛び込みたい衝動にかられる。小屋に着くなり皆川に洗濯に行く、終った人達は泳ぎ始める。田原さんは生まれたまんまの姿である。ニューリーダーのミスターSO-も一緒にはしゃぐ、ドッグスイミングと言って犬かきを「ワンワン」と吠えながら泳ぎ、笑いのウズとなる。ミスターSO-は韓国では有数の若手クライマーとのこと、私と意気投合して10年来の友達のようだ。
 私のことを韓国名で呼んでくれ(小林=ソウリン)、夜の交歓会の際など腕を組んで酒を飲み交わし、酔った勢いでキッスまでしてしまう。歌を唄い、ゴーゴーを踊り、しゃべりまくり、料理も豪勢でイカとナマコの刺身まである。野外でのパーティを今夜も楽しく過す。
 5日目、朝から雨、今日は林道を下る。桑名氏と山のこと、人生の悩みなど話しながら歩く。ミス金さんとも一緒になり、また一昨日の続きの韓国語の勉強をする。ミス金さんは優しく、私の好みなのでよけい親近感が湧く、チョンガー(独身男)、パン(栗)、チィー(家)など、写真を一緒に撮りながら歩く、コスミダ(ありがとう)。雨のため、海水浴は中止になり温泉に行くことになる。道中バスの中で日韓親善歌合戦となる。乙支山岳会員の人達がサービスに日本の歌を日本語で歌ってくれた。中でも「いしだあゆみ」の「ブルーライトヨコハマ」は、若い人も知っているのでこの歌は大合唱となり、もう和気合々でいい雰囲気だ。
 日本海は台風5号の影響で荒れ狂っている。昼食は港の近くの食堂で貝ラーメンを食う。温泉は広々とした所にポツンと一軒あり、ホテルといった感じ、風呂場は日本の銭湯に似ている。入浴後、川田さんが腹痛と下痢を訴える。タクシーで病院へ直行、バスも病院の前で待つ、原因は貝ラーメンではないかと思う。16人中13人ぐらいは調子が悪く薬の世話になる。川田さんは苦しそうであった。バスの中で横になり、ソウルへ向かうバスはいく度か臨時停車する(道路際で用をたす)。しかしバスの中は歌の交歓会で盛り上がりこの上ない。ゲームをした際、韓国にもジャンケンポンがあることを知る。呼び名は違うが規則は同じである。ミスユンさんと隣席し、何時間も英語(単語のみ)で話し、漢字は筆記で楽しく過す。韓国の女性は皆、素直で純朴である。4日間を共にした韓国の友達とも別れの時が来た。ソウルでの別れの際は握手握手、涙、涙で別れ惜しんだ。また逢いましょう。日本にも来てくださいを合言葉に胸にじーんとくる別れだった。ユース着11時。
 6日目、市内観光、国会議事堂を見学できたのは乙支山岳会員のお陰です。土産も戴き、ありがとうございました。
 7日目、さわやかな朝、ユースで日本式の朝食をすませ空港へ、充実感、満足感で一杯に帰国についた。今回の日韓親善登山は大成功でした。団長をはじめお世話くださった役員の皆様とご同行くださったメンバー一人、一人に厚くお礼申し上げます。沢山の友達と思い出をありがとうございました。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ249号目次