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大源太川北沢
岩崎 和人

山行日 1983年9月4日
メンバー (L)岩崎、川又

 7月ごろから行こうと思っていた、大源太川北沢<<上越のマッターホルン>>の名で呼ばれている。大源太山へつきあげる沢だ。
 9月3日の夜行(例の長岡行)で越後中里の駅に降り立った。私と川又さんは、さっそくアプローチの道を捜し歩き出したが、かんじんの地図はアプローチのことを考えてなかったので持っていなかった。したがって明るくなるまで眠ることにした。
 朝、6時30分ごろ目覚めとともに出発する。中里の駅を出てから2時間ぐらい歩いて登山口に着く、さらに1時間ほどで大源太川に降りるコースになり、そこからワラジをつける。沢床はコケのためか滑りやすく、石がゴロゴロしているので足をとられ転びやすい。滝も大きくてもほとんどが直登できる。岩もガッチリしているが、コケがついていると条件が悪くなる。
 シャワークライムもけっこうあり、上手な川又さんはあまり濡れずに済むが、僕はやたらに濡れてしまう。沢も三分の二を消化した所でルートを間違えて、沢が消えてしまった。「上に行こう」ということでヤブコギとなる。うっそうと茂ってはいなく楽らしいが、結構きつい。延々とヤブをこいで行く。
 かなり時間が過ぎ、地図を見て判断しながら登っていくと、突然雷が落ちた。雨も降り出し、二人の顔は引きつってしまった。ゼルバンや金属類をザックにしまい込み、ヤブの中で身を伏せる。
 恐怖の一時を過ごした我々の目の前には稜線が見えた。死に物狂いでヤブをこぎ、トラバースしてコルに出た!。
 大源太山が何気なしにそびえている、「コノヤロー」
 ホッとして稜線を歩き蓬峠を目指すが、またもや雷小僧のお出ましである。恐怖に顔を引きつらせながら早足で歩く。道はあるのだがササが覆いかぶさっていて歩きづらく、足を滑らせては転ぶことを何度もくり返す。逃げるように蓬峠へ向かう。
 蓬峠に着いた時はホッとしたがまだまだ下降が続く、道は滑りやすく、地下足袋をはいているだけなので、足に衝撃がくるので辛い。とにかく土樽の駅へと思い、足は速くなるばかりだった。
 駅に着いたのが6時ちょっと前で、上野行きの鈍行に間に合うが、これに遅れると駅で次の日までボケッとしているところだった。とにかく無事に帰れてよかったと思っているしだいです。

〈コースタイム〉
越後中里駅(6:40) → 大源太登山口(8:05) → 北沢出合(9:05) → 稜線(14:00) → 蓬峠(15:30) → 土樽駅(18:00)


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