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むじなが森山・会津磐梯山
加藤 次男

山行日 1983年6月18日~19日
メンバー (L)勝部、塩沢、加藤

 自分で道を作って行くというのは、都会に住む連中にとっては大いに不安なことだ。平面の一点に置かれた自分の方向性を失う。もう何年も前、奥秩父の将監小屋の番人をしていた知人を頼って1週間程居たことがあるが、その知人が長靴姿で道なき道(当時の小生にはそう思えた)をまるでカモシカのように浮遊していたことを思う。登山道を一次元とするとヤブ山はやはり二次元の世界で、明らかに反都会的なものだと思う。しかし、そんな中でも知恵を身につければ自分の自然観も広がるだろうという気もしている。
 むじなが森山。名称に誘われてのヤブ山山行である。小雨降る6月17日、上野駅21時集合。ベンチで塩沢氏と(天気は多分良くなるよ)と半ば慰め合いながら勝部氏を待つ。上越線の小出で只見線に乗り換え会津川口で下車したのだが、その間眠たい目の中に色の白い女性が目立つ。自分が遠くに来ているのを知る。駅よりタクシーで20キロ程先のむじなが森山近くの鞍部に入る。遅い朝食をとり皆んなでルートの確認をし、9時30分ヤブコギ開始。地図上でわずか1.5キロ程の道のりである。尾根筋を忠実に辿って行く。曇り空の下、ガスが多少かかっており体に露が落ちるのを感じながらしつこいモウソウ竹をかき分け、初体験の塩沢氏と小生はガムシャラである。途中で勝部氏がキジを撃ちに行ったが、アブに刺されたと言って尻をさすりながら戻って来た。ここでヤブ山山行の注意点、尻にも虫よけ薬を塗るべし、と心得る。ほんの天幕が一つ張れる程の頂で、ガスのためほとんど展望がきかない。小さな花々が咲く中で早めの昼食をとる。
 帰路は塩沢氏がトップに立つが、いつしか尾根筋を外し勝部氏の注意で暗部に戻ったが、小生は焦っている証拠に払いのけたモウソウ竹にビンタを食らうは、切り口のある枝にスネを刺されるはで、登り以上に疲れた。とにかくヤブ山山行(と言うよりは訓練と言う方が適切かも知れない)を無事終了、長い林道歩きを覚悟していたものの、先の遠さに溜息が出る頃、地元の山菜採り帰りの車に拾われて温泉宿に着く。お湯に入った後は例の如くである。
 2日目、小雨まじりの中宿を出発。磐梯山へ向うべく本名駅に急ぐ。猪苗代駅で雨が上がり、登山口に着く頃は期待通り薄日さえ射している。林道、スキー場と登ると尾根道に取り付く辺りに銅沼があり、そこからスルバチ状の山の形が良く確認できる。13時頃弘法清水という所で昼食。その後、荷を置いて頂上に登る。既に晴れ上がっており、猪苗代湖や小さな沼々が見える。快い風の中、今日の天気に皆んな感謝して記念写真を1枚、帰路は高原状の台地を猪苗代湖を前に一気に下る。以上楽しい山行でした。

〈コースタイム〉
(1)むじなが森山鞍部(9:30) → 頂上(11:10~11:50) → 鞍部(13:30)
(2)会津磐梯山高原駅(10:40) → 銅沼(11:40) → 中の湯(12:00) → 弘法清水(13:00~(頂上往復)~14:30) → 登山道入口(15:35)

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