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男鹿山塊西村山(西俣沢右俣より)
川田 昭一

山行日 1983年9月15日~17日
メンバー (L)川田、高橋(正)

 9月の中頃特有の秋雨前線が列島に横たわり長雨型の涼しすぎる日が続く中、大佐飛山塊へ、魚つりも兼ねた、欲張った例会山行を試みた。
 高橋正純君と私の二人、2泊3日分の荷は二人に分担しても一寸きつすぎた。
 西俣沢右俣からつめ上るルートは記録によれば悪場の少ない登りやすいルートとのこと。ただ重すぎる荷物での沢登りだけに慎重を期して無理せず、安全登山とする。
 途中、釣り糸を流したが小形の山女魚ばかりで、かなり上流まで山女魚だけが生息しているようである。
 記録(岳人2月号昭和57年)の通りたいした悪場もなく、滝の高巻きを4ヶ所、釜のへつりを2ヶ所、くり返しながら約6時間をかけて西村山のピーク(1775m)へつめ上がる。西村山のピークではM大学のペナントが確認された。
 今年の3月に頂上を踏んだ近くの黒滝山に在ったペナントと同じ物だった。
 強烈なヤブと格闘したため全身濡れネズミだ。9月の中旬だというのに寒くて歯がガタガタ、全身に震えがくる。
 今の季節にしてはめずらしいオホーツク高気圧が強く張り出したため、気温は下がり、おまけに樹林を通しての風は冷たい。
 5時半、西村山のピークでテントと決め込む。昼間の霧雨が夜には本降りとなり、フライ無しのテントの中は押して知るべし。大水もいいとこ、翌朝は早々にテントの撤収、西村山からカラ身でも往復6時間もかかる大佐飛山はあきらめ、フモトの部落、湯宮の里に下ることにする。
 下りのルートは強烈なササヤブではっきりしないトレースがあるかと思えば、オオシラビソの原生林の中にはっきりとつけられたトレースとが入り混じった所を下る。
 幸いにM大学がつけた赤布が要所要所にあってガスの濃いヤブの中を下る我々を大いに助けてくれる。
 鴫内山(しぎうちやま、1414m)までの途中、晴れていたら視界のよくきく、二つのピーク白森山、キンタヌキ山を越えた。
 鴫内山はフモトの湯宮まで西村山から時間にして3時間弱、距離にして丁度半分の位置にある、晴れていれば眺めの良いところだ。ガスで視界のきかぬ草原状の広い山頂付近をマツムシ草、ウメバチ草が咲き乱れ、たいくつで苦しい下りにアクセントをつけてくれるのが助かる。
 鴫内山より道はやや良くなりやがて、フモトの生活の音が聞こえ、カラ松の人工林や杉林を抜けると、湯宮より大佐飛川へ抜ける林道に飛び出した。鴫内山より2時間弱であったが、相変わらず雨は降ったり止んだりのくり返しだった。
 バス停近くの駄菓子屋のオカミさんに熱いお茶をごちそうになり一息つけた。
 板室温泉までのタクシーの中、頭に浮んだこと、それは熱カンと熱い湯につかって濡れて冷えきった体を内と外から両方で温めたいなーと・・・。ところがまるで裏目に出た。ヌルイ湯に冷酒が待っていました。

〈コースタイム〉
1日目 黒磯駅バス →(40分)→ 木ノ俣バス停 →(1時間)→ 西俣沢出合林道 →(2時間)→ 二俣出合 →(4時間30分)→ 西村山頂上(泊)
2日目 西村山 →(2時間40分)→ 鴫内山 →(2時間10分)→ 湯宮バス停

ルート図

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