トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ250号目次

春山合宿
その1 谷川岳芝倉沢 総括及び先発隊の記録
勝部 辰朗

 新人または初級者向けの合宿として前年度と同じ谷川岳芝倉沢で行われた。
○登山計画抜粋

ルート図

 以上の計画で先発隊は5月2日の上野発22時10分の列車で土合へ、殺人的な混雑を予想していたが拍子抜けするほど混まなかった。土合駅は雨、5時半まで仮眠し出発、去年に比べ格段に雪が多く、新道では対岸の沢よりのナダレが湯檜曽川を越えて大きな大木をへし折っていた。5月3日は一日中雨で、テントの中でウダウダする。エスパースNo.4のポールが折れていたため副木を使用して使うが、ホエーブス2基不調。5日、6日の山行ができなくなるのではと不安。藤居さん夫婦・鈴木(竹)さん達が2時頃陣中見舞いに見えた。藤井さんに装備不良のこと、再調達のことを播磨さんへの伝達を頼み見送る。3時より雨が止み、4時まで歩行技術、キックステップの訓練をする。幕の中で装備の使用方法、ザイルの結び方等指導。悪天のため今日雪訓があまりできなかったため、明4日は谷川本峰を踏むのは中止とし、一日雪訓をすることと決定した。
 5月4日、快晴、気温高し。勝部隊・佐藤隊に分かれ雪訓。S字部分はデブリだらけ、その上はまだデブリもなくきれいだ。これからナダレてくることであろう。勝部隊はS字の上部より40分程つめた所で、佐藤隊と合流すべく引き返す。10時半頃よりブロックナダレが頻繁に発生。佐藤隊S字下で訓練を終え、勝部隊と合流し11時半頃ベースへ。佐藤(明)、宮島、川上、福沢、12時にベーを去る。
 午後両隊を合わせベース近くにて4時まで雪訓する。雪が多いためベース間近で雪訓ができたのは楽であった。丸一日以上かけた雪訓は型だけに終わらず、実戦を想定した訓練まで行え、かなり充実したものができたのではないかと自負している。
 反省点としては、装備の不良で保守管理の問題だけでなく、根本的に使用する人の装備に対する無知と雑な扱いからくるものか、会員皆が共同装備は自分の持ち物と同様のつもりで大事に扱い、使用方法や構造等熟知しておく必要を改めて痛感した。もしも冬山でバーナーが故障したらアウトなのだから。また、春山合宿のあり方についてだが、全くの新人を対象としているのだが、新人は個人装備すらなく一気に冬山装備や登攀具一式まで買い揃えなければならなく、一時にかかる金銭的負担は相当なものだと思える。また、根本的に山を知らないのに、いきなり雪訓では訳が分らずじまいで終わったのではないだろうか。一つの案として、新人募集は5・6月頃に行い、夏山や岩・沢の訓練を織り交ぜながら十分に歩かせた後、11月頃に雪訓を行い、初級の冬山を経て5月の春山合宿にもっと高度な所で合宿を行った方が良いのではないだろうかと思ったりもする。5月の連休は年間を通して考えても、いくらもない連休なのだから。でも、合宿を無事に終え、新人諸君には今回の合宿で雪山のすばらしさを味わい、それに魅せられてこれからの山に対する情熱をかきたてる燃料になったのであれば、それで充分に幸せだと思っています。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ250号目次