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百蔵山から扇山
勝部 辰朗
山行日 1984年2月5日
メンバー (L)勝部、播磨、鈴木(竹)、江村(し)、高橋(正)、麻生、藤居、堀田、高橋(千)、古矢、山沢、加藤、岩崎

 2月3日の例会山行計画にハイキングが少ないとのことで計画してみた。都心より近く登山口、下山口が駅になっている山で、人のあまりいない山を対象として選んだのが今回のコースである。
 2月5日、天気快晴、早朝新宿駅に集合し中央線猿橋駅で下車。岩崎、加藤両氏は一つ手前の鳥沢で下車し、扇山への一般登山道を東寄りに外したヤブ尾根を登り、扇山で本隊と合流することとなった。本隊は吊橋を渡り、皆のんびり登りにかかる。山の神より登山道となり雪も出てきた。稜線に出ると権現山が間近に迫って見える。今年は雪が多く、稜線で30cmくらいあったろうか、でもこの山は雪のある時期にブラブラ日溜りハイキングするのが一番似合うように思う。百蔵山よりは急な下りとなり、慣れない人はだいぶ雪のスベリ台を楽しんだようだ。百蔵山~扇山の鞍部で昼食とし、ミソ汁を作る。竹次郎さん得意のたき火までして魚を焼いて食べたりした。扇山のピークは広く、百蔵山より一層眺望は良い。下りはピークより3分くらい引き返し、水呑杉(この時水は涸れていた)を経て鳥沢駅へ下り雪の日溜ハイクを終えた。
 入山者は、我々の他2パーティくらいとすれ違った程度で静かな山を楽しめた。でも、夏に登る山ではないと思った。雪がついて初めて映える山だ。扇山のピークなどは、だだっ広くトイレもあり新年山行にはうってつけの山だと思う。入ろうと思えば君恋温泉もあるが、但し前もって営業しているか確かめてからの方が良いようだ。
 実業の日本社の「東京付近の山」にコースガイド、タイム等は詳しく載っている。


山沢 由理

 2月5日、新宿発7時10分の甲府行きで一路、百蔵山、扇山を目指して出発した。総勢12名。この日私は家を5時半に出なければならず、2月の5時半というのは真夜中も真夜中、寒気は勿論のこと、まだ世間が動き出す前で、その緊張感は特別のものであった。
 冬期の山行はこれが初めてで、色々な思い、不安が交錯していた。8時半過ぎ鳥沢の駅に着いた。明るい陽射しが不安を吹き飛ばしてくれた。初めての雪の感触は思いの他気持ち良く、クッションが効いていて歩き易かった。また下りは実によく転んだが、それでも決して滑るまいとするのではなく、かえって滑りを利用して歩けば楽に軽く進めることが分かった。なにしろ青い空、真白な雪が心を弾ませてくれ、初夏を思わせるような陽射しがまるで夏山をどこか縦走しているような気分にさせてくれた。しかし、このような快適な山行が大半天気に左右されていることを思わずにはいられない。これが雪が降り、風が吹いていたら登る条件が厳しくなるだけではなく、余裕のない楽しさも半減した山行となったであろうと思う。


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