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苗場山
加藤 次男

山行日 1983年10月22日~23日
メンバー (L)勝部、広瀬、加藤

 昨日の東京の小雨模様の天気がまるで嘘のように、越後湯沢のバス停の上空には星が輝いている。祓川でバスを降りると辺り一面は紅葉の盛りである。今年最初のそれは一層あでやかに見える。しかし高度を上げるにつれてその色も薄れ、クマザサ等の緑の色が目立ってくる。ジメジメした登山道を登り切ると神楽ガ峰に着く。眺めのよい所で東に谷川連峰、西に鳥甲山が見渡せ、登って来た緩やかな山容は女の乳房を思わせる。見上げる頂上への道はこの行程中最も急勾配であり、あたかもここまで来てごらんといわんばかりである。我々は雷清水の冷たい水で喉を潤した後、気合を入れて登り始める。
 確かに最後の一歩を越えると快晴の中、苗場山の頂、というより台地が惜しげもなく広がっており、なかなかイキな演出である。すっかり茶色に染まったカヤの中に大小無数の池塘を眺めながら、三角点に到着、今日はここにテントを張る。
 朝、淡いガスの中雪が積もっている。夜半から降っていたのは雨でなく雪であったとは。しかし風はほとんどなく大して寒くはない。雪を融かして朝食をとった後、雪化粧した中を木道に沿って赤湯への道を進む。小雪も下るにつれて小雨になり、赤湯に着くころは視界もはっきりしてきた。沢沿いの露天風呂に身を沈めながら紅葉を肴に熱カンを飲む。

〈コース〉
祓川~和田小屋~神楽ガ峰~苗場山(泊)~赤湯~元橋


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