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奥秩父・峠めぐり
有馬 喜美子

山行日 1983年11月5日~6日
メンバー (L)広瀬、今村、有馬、久山

 9月に入会した私が初めて山行に参加できた、山ならどこでもいい。シュラフに包まってテントで眠る、この幸せは他に例えるものがないと思う。山行で一番気に入っていることは、自分しか頼るものがないことだろう、歩かないと頂上は極められない、これだと思う。さて、今回の山行だが、新地平から日本三大峠の一つである雁坂峠を越え、雁峠そして笠取山に立ち将監峠を経て帰路につく、奥秩父のよさを存分に味わう峠めぐりの旅であった。
 11月4日、20時10分新宿発の列車で塩山へ、駅からはタクシーで新地平まで行き、歩いて30分程の所の登山口に天幕を張る。夜中はやはり寒い、冬山の寒さに比べればなんのことはないと広瀬さんの言葉、冬山への経験のない私には想像もつかない。テントの中で一杯飲んで1時過ぎ頃入眠す。明日はいよいよ山歩き、がんばるぞ!。
朝、青空がところどころ顔を出しまあまあの天気、天幕をたたんで8時に出発、久山さんを先頭に2番目を歩く、置いていかれないように必死でついていく、1時間歩いては休みながら登っていく、休みの時間に地図の見方を教わる。地図が読めるようになれば山行も一味違ったものになると言われ納得する。新地平を出発してから4時間で雁坂峠に着く。登りの方は割りに緩やかで周りの景色を十分楽しめる。しかし、さすがに雁坂の峠のあたりは少し急斜面で運動不足の私はハーハーいいながら登る。雁坂まで来ると雁峠は目の前、笠取の山も見えてくる。夕刻4時頃B.Cを構える。みんなのザックのお酒が足りなくなり私と久山さんは、近くの酒屋ならぬ遠くの山小屋まで使いに出た。B.Cを構えた所はとても静かで良い所だった、笠取山の麓であった、笠取小屋にはバイクがありジープも乗り入れできる道が続いていた、少し寂しい気がする。テントでの今夜の食事は豚汁。今村さんのナイフさばきに感心しながら又、みんなの食事の知恵を教わりながら楽しい夕食が始まった。豚汁が少し塩っぽくて食後の水がとてもおいしかった。明日天気が良ければ6時出発、悪かったらエスケープという意見が一致してシュラフに包まる。
 朝から雨、7時まで寝ることにする。雨が上がったようだが霧が出ている。朝食の準備にかかる。この日も8時出発、笠取山へと向かう。巻き道でなく県境の稜線を行くことになる。途中、今村さんにヤブについて教わる。知識ゼロの私にはとてもいい勉強になった。稜線伝いの道は整備されて道に迷うことはなかった。人にあまり触れずにいる自然の姿は、私に恐怖さえ与えるような素晴らしさを持っていた。偉大な自然、東京のネオンとビルに囲まれた所にいる私にとり、こんなひと時は心にしみる。稜線沿いの道が終わると将監までは間もない。山行が無事終わりつつあることを感じる。そうなると未だ帰りたくない。もう少し歩きたいと思う、おかしなものである。一ノ瀬まで降りてタクシーを頼む。約1時間で到着それから塩山へとまた1時間、駅でラーメンをほおばり、お酒を買って列車に乗り込む、一杯やりながらみんなの顔を見比べる。今回の山行は仲間に恵まれまた助けられ、教わることの多いものでした。また是非行こう。

〈コース〉
11月4日 新宿~新地平
11月5日 新地平~雁坂峠~笠取山基部
11月6日 笠取山基部~笠取山~唐松尾山~将監峠~一ノ瀬

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