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雲の平温泉山行
高橋 千恵子

山行日 1984年8月1日~7日
メンバー (L)高橋(千)、千代田

 夏休みの1週間をどの山で過ごそうかと悩んだ結果、日本で標高第一位の天に近い高原、北アルプスの最奥の中心部にわだかまる秘境という素晴らしい説明に憧れ入山した。
 この説明で私の頭には1枚の絵が描かれた。広々とした高原に池塘があり、いろんな花が咲いていて、その中を歩く私。しかしこの絵の中に入るには1週間分の食料を担ぎ上げなければならなかった。
 8月1日
 今日の目的地は湯俣温泉。七倉発7時30分。快晴の車道歩きは辛かったけれど、差し入れでもらった果物があったからバテずに湯俣温泉に着けた。1時40分、初日から温泉だ。露天風呂に入りたかったけど内風呂に2回入って満足。河原にマットを持ち出して夕焼け空を見ながらゴロゴロ!。
 8月2日
 竹村新道を登り水晶小屋までが目的だが、稜線に出るのに7時間くらいはかかると言われ、5時出発。ザックが重いのでゆっくり登る、思ったより道は整備されている。登山者も二・三人に会っただけで静かな登りだ。2時頃雷雨にあったが、たいしたことはなく無事に水晶小屋4時30分に着いた。
 8月3日
 水晶岳に登ってもガスがかかってつまらないと思ったがピストンする。今日の目的地は高天原温泉。また温泉には入れるぞ・・・・。水晶小屋をのんびり7時頃出発。岩苔乗越より沢へ下り樹林帯の中を下りる。あったあったお花畑が。いろんな花で色彩感覚まるでなしのごちゃごちゃお花畑。その中を歩く少女二人。日本一高い所にあるという高天原温泉。女性風呂は板囲いがしてあるが、男性の露天風呂が丸見え(いえ見たわけではないんです。見えてしまうんです。)、最高でした(お風呂がです)。高天原にはテン場がなく、小屋に素泊まりさせてもらう。
 8月4日
 今日ものんびり山行で6時頃出発、空は青空。いよいよ雲ノ平にテントを張る日だ。そしてあの絵の中に入るんだ。と思っていたのは甘かった。今迄のお花畑が良かったからか、雲ノ平に咲いている花は珍しくなくなってしまい、池塘は見当たらない、思っていたよりも広くない。ここが雲ノ平かと、ちょっとがっかり。11時頃テン場に着いたが、散策より腹ごしらえと団子を作って食べているうちに夕方になってしまった。花より団子とはこのことか。あの絵が遠くかすんでしまった。
 8月5日
 5時40分発。すぐ雲ノ平を後にするのはもったいないので、ちょっと遠回りをしてスイス庭園を通り祖父岳に登ることにした。これが間違いだった。昨日の雨が這松に残っていて、30分くらいの這松歩きでトップの千代田さんはTシャツが絞れる程ビショ濡れ、まいりました。しかし天気がいいので知らないうちに乾いてしまった。11時、三俣のテン場に到着。三俣蓮華までピストン、たっぷり時間があったので頂上で2時間程昼寝、これがまた最高。ガスが切れてさっきまで居た雲ノ平が見える。遠くから見た方が雲ノ平らしく見える。どの山も山頂はせり上がっているのに、雲ノ平だけは頂上がなく平らになっているのがはっきりわかる。中に入ってわからなかった広さが、ここからは随分広く平らになっていることがわかる。
 8月6日
 唯一の稜線歩きだと張り切って4時50分出発。三俣からまた水晶小屋を通って野口五郎岳を登って烏帽子小屋まで行く。午前中は天気は良かったが、昼頃から曇ってきて展望がなくとても残念だった。2時30分着。
 8月7日
 御来光を一度も見なかったので今日は期待したが、テントを開けてみたらガスがかかっていて、すぐ諦めた。5時出発。ブナ立尾根を一気に下山。七倉着10時20分。下山届をして、最後の温泉場、葛湯温泉へと向かった。


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