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根名草山
高橋 千恵子

山行日 1984年6月9日~10日
メンバー (L)古矢、江村(し)、佐藤(光)、高橋(千)

 奥鬼怒四湯を知った時から金精峠より根名草山を越えてみたいと思っていた。暑くもなく寒くもないと思われる6月にちょっと雷などを心配しながら入った。入ってびっくりまだ雪が背丈くらいある。冗談に言っていたスパッツが本当に必要となったが、私は持ち合わせていなく軽登山靴で行ったため、私の足はかわそうな目にあってしまった。
 金精峠からの1時間位はしっかりした登山道で、江村氏にシャクナゲの見方や花の名前を聞きながらのんびりと登った。いつの間にか道は雪に覆われてルートファインディングしながら進むが、なかなか道が見つからない。1時間位歩き回ったが結局元の所に戻り再出発だ。温泉ヶ岳への登りはトラバースと思っていたのだが印は直登になっている。温泉ヶ岳のピークに立ったが周りはガスが濃く何も見えない。急坂の登山道を下りたらスッポリ道が消えてしまった。2年前の台風にやられたのかいくら捜しても道の続きが見つからない。急な沢を下りてみたが、あまり下りたらいけない、尾根に戻らなければとリーダーの判断でガスのかかった尾根を見つめながら雑木林の中をトラバースぎみに登る。あった、あった印が、やっと地図に載っている登山道に出たが時間を使いすぎてしまった。もう戻ったらいいのではないかという声を振り切って念仏非難小屋まで行ってみようと歩きだした。倒れた木をまたいだりくぐったり、足がスッポリ雪の中へ入ってアザをつくったり、いくら歩いても避難小屋は現われない。ガスが濃いので見落としたのか、もう無くなっているのか? 赤い布が白くなっているような印を頼りに根名草山の手前までやって来た。しかしこの先の道も不安だし、天候が悪く霧雨でヤッケも頭もだいぶ濡れている。江村氏によると、この時の風の吹き方が段々短くなり天候が悪くなる吹き方になっていた、と話してくれた。このまま進んでも目的の日光沢温泉に着くのはいいところで7時になってしまうという。電話のない日光沢へハガキで予約をしておいたので心配されること間違いなかったが、予定の時間を大分オーバーしていることもあり戻ることに決定した。ガスで見えないが目の前にあると思われる根名草山を越えられないのは残念だが、11時30分引き返した。引き返すとなると足が重い(重くなるのも無理はない、既に私の靴の中は雪でビショ濡れなのだ、とはオモイ違いか)。温泉ヶ岳を今度は通りトラバースぎみに印を追って行くと、やはりこれも台風のいたずらだろうか、10mくらい崖が崩れている。今は雪があるから雪訓のおかげで渡ることができたが、雪が解けたらトラバースできるのかわからない。登山道が雪の間から覗かせるが荒れている。引き返して来て最初に迷った温泉ヶ岳への直登とトラバースの分岐の印を見つけたが、それはわかり難くなっていた。今度来る時間違わないようにと目印に大きな木を目に焼きつかせて、今夜の宿はどこにしようかと検討しながら下山する。
 金精峠に着いたのが1時40分頃。湯を沸かしてのんびり一本にした。検討の結果、湯ノ子温泉に決まり、気持ちは温泉なのだが傘を差しながら車の往来の激しい車道をチンタラ歩くのに嫌気がさし、近道しようとガードレールを乗り越え草原を下り、2・3mの石垣を飛び降りたら足をくじいてしまった。その結果、温泉には入れない、次の日はどこへも寄れないという始末、石垣を下りる時傘をラッカサン代わりにすればよかったんだよとは江村氏の言葉。本当かなァ。
 同行の皆様に色々心配をおかけ致しました。紅葉の根名草山山行までには足を治しておきますので、また一緒にアタックさせて下さい。


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