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大無間山
勝部 辰朗

山行日 1984年9月15日~16日
メンバー (L)佐藤(明)、棚網、勝部

 9月14日夜10時30分用賀駅に集合し、棚網君の車で東名高速に乗り静岡で降り、千頭を経て寸又峡を目指す。大無間登山口方面へ延びる林道は、寸又峡温泉へ向う道と分れた所より舗装はなくなり、一般車は通行禁止となっている。しかし、登山口まで入ることとして夜道をおっかなびっくり進んだ。ところが、上閉蔵沢のあさひ橋の上に鉄柵のゲートが立ちはだかっていた。ゲートは鍵がかかっておりしかたなくそこに車を置いて、朝4時40分不眠でぼやけた頭にヘッドランプをつけて林道をトコトコ歩き出した。調査不足であったが時間的に大誤算だった。2時間30分林道を歩いて大樽沢の登山口に着く。ゲートの奥の方が林道は比較的整備されているが、ただ側壁はいつ崩れ落ちてもおかしくないようが岩等が何個所かあった。登山口で朝食をとっている時に小さな地震があり、車のことが多少気になった。
 登山口にある木組の梯子を登って沢沿いに進む。ワサビ畑を過ぎ沢を渡り返して登って行ったが、どこでどう間違ったのか伐採の仕事道に紛れ込んでしまい、本来のコースより西へずれた1604mのピークに出てしまった。仕方なく稜線をカバ沢のコルへ向って下り、登山道とぶつかるべくヤブをこいで登りつめた(一部ガイドブックにある、カバ沢のコルを通るコースは現在廃道のようである)。雨は降ってくるし、まったく嫌になる。11時40分、1710m位の所で登山道に出合った。登山道と言ってもヤブ道で笹の中を足でさぐりながら進むような所が多く、また倒木が道を塞ぐ所などは迷いやすく、あやしい踏跡もあったりして注意を要する。雨の日のヤブ道は、ぐちゃぐちゃになるし気分も滅入る。
 稜線近くなった所より北東方面へ向きを変えて、ダラダラとトラバースが続く。左にガレ場が現われると道が東へ屈曲する鹿の土俵場はすぐだ。更に進むと三方窪のわずか手前にエスパース一張は張れる格好のヤブなしのスペースがあった。大倒木が上にかかり雨よけになっている。これを見て考えてしまった。「ピークまで行っても帰りの時間等を考えれば、連休帰りの交通渋滞に会ったりして自宅へその日に着けなくなってもまずい」と千葉県の住人は考える。「それにこの雨だ、帰りの林道が崩れて車が通れなくなったら・・・・」等とごたごた理屈をこねて、ここに幕を張り翌日下山することとした。先ず早い話が早く酒を飲みたかったことと、不眠で雨のヤブ道歩きに嫌気がさしてきたというのが本心のようだ。翌日明け方近くまで断続的に大雨が降り続けた。
 9月16日朝、雨も小止みになり今度は正規のルートを辿って下山する。
 問題のゲートは調査検討の結果、開けられることが判明した。ゲートに向って右側の支柱の中程に10cm角ぐらいの穴があり、そこから手を突っ込み上に突き上げると鋲の頭に触る。これを手前に引くと錠は外れ、ゲートを持ち上げ加減に手前に引くと開く。詳しい開け方を聞きたい方は、佐藤明または勝部までお問合せくださいませ。ここが開けられれば登山口まで車で入れることになる(地元の釣師達も入ってきていた)。が、悪天候の時は側壁の崩れや、また営林署とのトラブルもあり得るので、その点充分留意の上通過したいものだ。
 帰りがけに寸又峡温泉の無料露天風呂に浸かり、交通渋滞の始まる前に東京へ着いた。
 今回は意気地なく撤退してしまったので、またもう一度ここまで来なければいけない羽目になってしまった。全くご苦労なことである。

〈コースタイム〉
9月15日 上閉蔵沢(あさひ橋ゲート)(4:40) → 大樽沢橋登山口(7:05~7:40) → 1604mピーク(9:10) → カバ沢のコル(9:45) → 1710m地点(登山道出合点)(11:30) → 鹿の土俵場(12:10) → 三方窪(13:00)泊り
9月16日 三方窪出発(6:05) → 鹿の土俵場(6:35) → 大樽沢橋(8:30) → あさひ橋(10:50) → 東京(用賀)着(18:30)

ルート図

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