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正月合宿 C隊 蝶ヶ岳
勝部 辰朗
山行日 1984年12月31日~1985年1月3日
メンバー (L)勝部、岩崎、市川、鈴木(章)、加藤、江村(し)、佐藤(八)、川又、遊佐、古矢、冨岡

 初級冬山技術の体得を目的とした蝶ヶ岳は予定通り順調に終了した。
 行動計画を定め、食糧気象等々の担当を決めた以上は各担当にやっていただいた。各担当に対して極力口を出さないようにしたつもりで、失敗談や反省点がたくさん出てくれば、私も含めて良い勉強になると思った。
 合宿前の訓練山行もみな熱心に取り組んでもらい、実際合宿で使わずに済んだ技術訓練もあったが、合宿という目標を持った真剣な訓練はこれからの山行に大いにプラスになったことと思います。
 今回の合宿では天候に恵まれ、蝶ヶ岳最大の魅力である展望もばっちりで、皆さん満足されたことと思います。

蝶ヶ岳正月合宿

メンバー 勝部(総合リーダー)
A班 (L)岩崎(気象)、市川(気象)、鈴木(章)(食料)
B班 (L)加藤(食料、会計)、江村(し)、佐藤(八)(記録) 以上、カマ天泊り
C班 (L)川又(装備)、遊佐、古矢(食料)、冨岡(薬品、会計) エスパース泊り、以上11名。
共同装備
カマ天、エスパース、EPI本体、ホエーブス2基、ガソリン6リットル、EPIガス2個、コッヘル(7~8人用)、大ナベ、テルモス2個、ザイル8mm×30m、スコップ、メタ、ローソク、タワシ、雑巾、ラジオ、トランシーバー、天気図用紙
コース
1984年12月31日 松本~徳沢園
1985年1月1日  徳沢園~横尾~蝶ヶ岳~長塀~徳沢園
1985年1月2日  徳沢園~上高地散策~中ノ湯泊り
1985年1月3日  中ノ湯~松本~新宿
会計報告
最初に各自1万円徴収、12万円。
(1)食料関係11,520円。
(2)装備関係、ガソリン5,000円、薬品1,800円、EPI880円、計9,680円。
(3)打上げビール代3,000円。
(4)交通費、松本~沢渡往復タクシー代8,100円、マイクロ13,000円沢渡→松本、マイクロ12,000円、計33,100円。
(5)テント代2組一人200円、計4,400円。 総合計94,900円、残金15,100円、最終日松本での昼食及び飲み代。


コースタイム及び記録
佐藤 八重子

 1984年12月31日(月曜日) 晴れ
 松本駅発(4:55)(タクシー) → 沢渡(6:30~7:34) → 釜トンネル(8:30) → 大正池ホテル(9:48~10:11) → 河童橋(11:5~11:18) → 明神池(12:10~12:20) → 徳沢園(13:19)。泊り消灯20時。
 前日夜松本駅に集合し仮眠する。4時起床。沢渡に6時30分着。朝食中に昨日明神岳で雪崩が発生して死亡者が出たとの放送があり、皆気を引き締めて登り始める。雪は少なめで道もトレースして歩きやすいが、平坦で長い道が続く、皆肩の荷物が重たそう。釜トンネルを越えてやっと上高地に、目の前の穂高連峰に感激。なおも長い道が続く、明神を経て徳沢園に休憩を入れて6時間弱。荷物を置いてテント張り。夜はすき焼きで明日の鋭気を養う。
 1985年1月1日(火曜日) 晴れ 気温マイナス5度C
 3時30分起床、徳沢園(5:45) → 横尾(6:55~7:5) → 森林限界(10:10) → 蝶ヶ岳頂上(気温マイナス10度C)(11:20~11:50) → 蝶ヶ岳ヒュッテ(12:30~12:50) → 長塀山(13:29~13:38) → 徳沢園(15:30)。泊り消灯22時。
 いよいよ目的の蝶ヶ岳に向けて5時45分出発する。星空の中ヘッドランプをつけて登り始める。横尾までは平坦な道、周りも明るくなり蝶ヶ岳への登り開始、道はしっかり付いており迷う心配はない。一歩一歩急坂を登ること3時間位で森林限界に到着、一休みしてアイゼンを初めてつける。11時20分頂上へ、雪が少なく所々に岩肌が見える。天気は快晴、360度の大展望。皆で記念写真。風景を満喫した後下山開始。蝶ヶ岳ヒュッテで昼食をとる。稜線なので風が強く冷たい。長塀山の下りは森林の中の急坂、皆さん転びながらの下り、登りとはうって変わって賑やかなこと。15時30分徳沢に着いた時はさすがにぐったり、夜はシチューで身体を温め祝杯。体調の悪い人もいたが、無事頂上に立て大成功。
 1月2日(水曜日) 晴れ
 6時起床、出発(9:5) → 明神(9:55~10:40) → 河童橋(12:25~12:55) → 大正池ホテル(13:45) → 釜トンネル出口、中ノ湯泊り(1泊2食付5,500円)
 今日は上高地散策。遊佐さんが一日早く帰るため明神で別れる。穂高神社で初詣、各隊の安全祈願の後明神池散策、各隊と交信皆異常なし、軽い食事をとり出発。なんと河童橋までラッセル訓練とのこと、道のない所を一歩一歩踏みしめるがなかなか前へ進まない。順に交替しながら一回り、時間にしたらわずかなのに長く感じた。道があるということはなんと有難いことか、労力がぜんぜん違う。河童橋で休憩後、また平坦な道を歩きながら中ノ湯へ、温泉に入って綺麗さっぱり、皆と思い出を語りながら最後の夜を過ごす。
 1月3日(木曜日) 晴れ
 中ノ湯(7:50) → 沢渡(9:10) → 松本駅(10:20)着、松本発臨時急行(13:40)発 → 新宿(17:00)
 今日は1時間強の行程、朝なので道が凍っていて滑りやすい。気をつけながら来た道を下り始める。時折り通り過ぎる車を見ながら最後のトンネルに入る。とても長く薄暗く、足音だけと影がぼんやり、一人では通れそうもない、来た時は全然感じなかったのに。列車に乗るまで2時間位時間があったので、江村さんに松本で美味しいお店に案内してもらう(栗菓子専門店竹風堂、栗クリーム、あんみつ、ぜんざいなどお薦め)。皆満足、昼食の後松本駅へ、江村さんとお別れ、播磨さんの代りに急遽参加して頂いて御苦労様でした。さぞうるさかったことでしょう、列車に乗り一路東京へ、新宿で解散した。


蝶ヶ岳隊、各担当者の感想及び反省点

1.食料計画反省

鈴木 章子

 はっきり言って、11人のパーティの食糧計画は私には負担だった。行動食というものは個々で用意すべきものだし、最後の食事は残飯整理が献立の一つになるのが私にとっては常のことだったので日が近づくにつれ苦痛になるばかり、所詮4~5人のパーティが限界の私の経験では無理だったのかも、又それなら2組のパーティに分けてもよかったのではないだろうか、行動食も同じことが言える。個々の好みも分からないまま高カロリーと満腹感を求めると依然甘い物がトップ、これもやはり個々で用意した方が無駄がないと思う。用意しても各自持ってくるのが常なので荷を増す結果になる。どうしてもと言うならばパンの2~3個ぐらいにとめるべきです。今度また食糧計画をやることがあるならば、もっと個々を知り会の内容等をよく理解した時点でやりたい。最後に買出しに行ってくれた人達ありがとうございました。


2.気象班のまとめ

岩崎 和人

 最初に書くことは、私自身はとてもプラスになったと言うこと。恥ずかしながら普段から気象に関しての勉強をやっていなかったため、冬山気象あるいは気象全般について理解を深めることができたのである。反省点は満足のいく天気図を書けなかったことがあげられる。合宿中天気図を見られた諸氏も不満に思われたことだろう。あとはラジオの感度にも問題があった。ボロなのか場所が悪いのか知らぬが、肝心のところが聞き取りにくかった。今後も研究を重ねて行くつもりである。


3.記録、私の感想と反省

佐藤 八重子

 私にとって冬山は写真で見るもので、自分が行くなんて思ってもみなかったし、北アルプスなんて夢のまた夢の話と思っていた。それが蝶ヶ岳の頂上に立てるなんて大感激、これも天気が安定していたのと一緒に行った仲間のおかげです。有難うございました。ただ一つ嫌なことは帰ってからの原稿です。私は文章を書くのが下手でしかもあまり好きではないのに記録係を仰せつかり、ない頭をしぼりましたがなかなか満足のいくものができなかった。今後はもう少し文章をうまく書けるよう努力したい。


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