トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ252号目次

米子沢
山沢 由理

山行日 1984年10月10日
メンバー (L)宮川、加藤、金子、市川、小原、近藤、土橋、山沢、他2名

 米子沢は両岸の迫っていない、広がりのある明るい沢である。沢自体の美しさに加えて、ちょうど紅葉が真盛りで見る目を十分楽しませてくれた。前夜10時に上野を発ち、六日町でバスに乗り継いで、清水に着いたのが4時30分。寒気が厳しく感じられた。懐電で照らしながら駐車場まで行き、そこで明るくなるまで待ちながら朝食をとった。出発6時過ぎ、平凡な河原歩きを1時間程して、第一の滝の前に出た。既に何パーティかが順番を待っていた。6m程の滝ですぐ右側に取り付いていた。下から見ていて右足の置場がないように思われたが、壁面に右足をフラットに置いて、腕の力で身体を引き上げたら何とか登れた。問題のチムニーも、いずれも踏ん切りさえつけばそう難しい所ではないだろう。やがて永遠に続くナメ床を這うように流れている箇所を過ぎると源頭が見え出してきた。ヤブのないすっきりとした草原だ。奥の二俣を左にとって尾根上に出ると、そこはほんの台地の一角で視野には収まり切らない。概して米子沢は溯行においては緊張するような所はなく、シャワークライミングや滝つぼがチラチラ気になるというようなことは全くなかった。ただナメの美しさと、紅葉の時季なので両岸の原色の迫ってくる様が、特に高度を上げて振り返った時、一層映えていたように覚えている。
 巻機小屋に着いたのは10時半頃で思ったより早く着いたのがかえって長くくつろいでしまったため、ピークを踏まないで下山した。今回の米子沢は沢ルートであるから、当然沢の紹介を始め溯行の様子やルート自体についても触れなければいけないところであるが"わあ、きれい"という程度で通り過ぎたため、単なる感想文に終ってしまったことを反省。
 所要時間、4時間15分。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ252号目次