トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ252号目次

集中登山 甲斐駒ヶ岳
その1 黄蓮谷右俣
金子 隆雄

山行日 1984年9月22日~24日
メンバー (L)高橋(弘)、金子、湯谷、井筒

 9月21日、中央線最終長野行に乗りこみ、差し入れのウィスキーを飲みながら日野春へと向かう。連休のせいか電車の中は見渡すかぎり山屋で一杯だ。
 4時20分、日野春駅着、降りたのは我々の他2・3人だけだ。駅で朝まで仮眠をとり、タクシーで横手駒ヶ岳神社まで行く。軽い朝食をとり行動開始。重いザックが肩にくいこみ汗がしたたり落ちる。沢登りにしてはちと荷が多すぎたようだ。7時50分見晴し台着。ガスっていてなにも見えない。9時20分笹の平着。11時40分五合目着。五合目より沢へと下りて行くわけだが、道らしい道はなくけっこうてこずった。
 12時30分、今夜の宿の千丈の滝小舎に着く。着いて間もなく雨が降りだした。岩小舎は天井が低いのが難点だが中は広く乾いておりなかなか快適だ。雨はいっこうにやむ気配がなく明日の行動があやぶまれてきたが、どうすることもできないので「まづ一杯やるべ!」ということで重たい思いをしてかついできた"都会のおいしい水"(お酒のことです)で喉をうるおす。その時突然湯谷君「明日は晴れる」と一言。
 9月23日。晴れたり雲ったり。昨夜寝る前は我々しかいなかった岩小舎も朝起きてみると人があふれている。湯谷君の予言どうり?雨はすっかりあがり青空さえのぞいている。
 今日はいよいよメインエベントの黄蓮谷の溯行だ。溯行開始してすこしたつと傾斜のきつい大きな滝が現れる。坊主の滝だ。この滝はその上の15mの滝と一緒に左岸を高巻き、左俣と右俣の分岐へ降りる。進路を右俣にとり小さな滝をいくつか越え高度をかせいで行く。ルート中のハイライトともいうべき奥千丈の滝はうっかり右岸の巻道に入りこみ、通りすごしてしまいそうになった。この奥千丈の滝で大きな落石がありひやりとさせられた。
 烏帽子沢出合付近で井筒さんの二足目のワラジが切れてしまった。だれも予備のワラジを持っていない万事休すである。又ここらへんは地形が複雑で間違いやすいと案内書に書いてあるが、まったくその通りである。仕方なく烏帽子沢をつめて右にトラバースし、奥の滝下へと出た。奥の滝3段60mは左岸を巻いて、あとはひたすらハイマツこぎである。14時40分、バテバテになりながらやっとの思いで黒戸尾根に出た。甲斐駒山頂はすぐ目の前だ。その日は暗くなるまで四方・八方の眺望を十分に楽しんだ。夜はさすがに3000m近い所で寝るのだから寒かった。シュラフを持ってくるべきだった。
 9月24日、快晴。今日は雲一つない快晴だ。山へ来てこんなに天気がいいなんてめったにない。今日の朝飯は悲惨だった。乏しい水でラーメンを作ったが出来あがったのはラーメンでなくノリだった。他のパーティが来るまですることがないので摩利支天へ行ってきた。全員集合してからまた摩利支天へよって下山したので今日は、二度も摩利支天へ行ってしまった。

〈コースタイム〉
9月22日 日野春駅(6:30) → 横手駒ヶ岳神社(7:00) → 見晴し台(7:50) → 笹の平(9:20) → 刃渡り(10:40) → 五合目(11:40) → 千丈の滝岩小舎(12:30)
9月23日 千丈の滝岩小舎出発(6:20) → 坊主の滝(6:50) → 奥千丈の滝(8:30) → インゼル(11:00) → 奥の滝(12:55) → 黒戸尾根(14:40) → 甲斐駒山頂(15:20)
9月24日 下山

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ252号目次