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集中登山 甲斐駒ヶ岳
その4 戸台川本谷
山田 仁恵

山行日 1984年9月23日~24日
メンバー (L)伊藤、小原、山田

 結果から言うと、計画していた戸台川~本谷~六方石のコースは行けなかった。
 伊那北駅からバスを乗り継ぎ戸台大橋まで入り朝食をとる。戸台川の河原に出てガラガラ道をひたすら歩く。スーパー林道をバスが行くのを見るとにくたらしいけど、広々して明るくて気分がいい。アベック1組と単独さんと抜きつ抜かれつつしながら、丹渓山荘を経由してやっと沢らしい流れになる。大きな岩の重なる上を忍者気分でピョコピョコ歩いて、そろそろ二俣って所でちょっとした事故があった。
 2番目を歩いていた私が大きな岩をへつるような形になっていた時、手が外れたのか背中から落ち、頭をぶつけながら沢の中にチャポン!となったのだ。まだヘルメットもつけていない時だった。高さは4m位だったらしい。下が沢だったのでタンコブだけで済んだけど、水の中から引っ張り上げられてから、寒さと怖さでずい分震えてしまった。リーダーから「沢は中止」との言葉があり、急遽尾根をつめることになった。落石の多いズルズルの道で、まだ動揺している私は足元がおぼつかない。この時だけは、伊藤さんがお尻を触っても怒れず「支えてもらって助かった」という思いだった。尾根に出てからも険しい道で、テントと食糧の重い小原さん、動揺を隠しきれない私、アルコールで少々へばり気味の伊藤さんの珍道中といったところ。
 やっとの思いで六合目の石小屋に着く。先客が多いので外にテントを張り、すぐに暖をとる。今日は私の誕生日なので、誕生会をすることになっていた。伊藤さんのワイン、小原さんのケーキ、重たかったオデンは特に美味しかった。アクシデントがあっただけにパーティが開けて良かった・・・ホッとする。
 4・5人用のエスパースに3人では寒いが、朝、昨夜のオデンの残りを暖めなおすと、体が暖まり、味もしみて今後の食糧計画にお薦めしたい。ゆっくり朝食をとって・・・出発したら、他のパーティはもうとっくに頂上に着いており「遅い遅い!」と言われてしまった。
 明さんの「がんばったな!」の声に「ハイッ!」と胸を張って答えられないのが辛かった。もっと修行を積んで、他の人に迷惑をかけないようにしたい。


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