山行日 1985年2月10日~11日
メンバー (L)今村、野田
2月10日 晴れ後曇り
前夜、西武線最終電車にて秩父へ、駅前でツェルトを張る。いつもは盆地特有の厳しい寒さだがやけに暖かい。
三峰口駅より白井差へ、タクシーに乗るがバスの終点の白井差口(広河原)を過ぎると間もなく、雪で車は動かなくなり高滝の前で下車。白井差までの車道は、前夜の雪の上に降った雨で重たく、よく滑る。今日の予定は、一井ガタワより両神山往復後、両見山、四阿屋(あずまや)山へと続く尾根を出来る限り進む予定だが、この雪の状態では先が思いやられる。
白井差を過ぎ昇滝の右岸を捲く所が凍っており、アイゼンをつけるが2~3歩と行かぬうちにダンゴとなる。手袋も帽子も不要、雪に触っても冷たく感じず、汗ダラダラと暑くてたまらない。一位ガタワより空身で両神山を往復する。山頂に着く頃まで快晴だったが東の方より崩れ始める。西の方は展望良く、富士山、奥秩父、八ヶ岳、浅間山等の展望を楽しみ、一位ガタワに戻るが、今にも流れ落ちそうな雪はアイゼンもはけない、またよく滑る。
いよいよ両見山への尾根に入る。地図上には道はない。今まで、だるく苦しかったが自分にとって未知の尾根に入ると、気が引き締まり、肩の荷が(水炊きの材料が重い)感じないのは不思議なものだ。比較的明瞭な踏跡が辺見岳方面へと延びている。途中、三笠山と思われる地点まで立派な石仏が所々にあり、多くの岩峰を右に左に適当に見当をつけ捲いて行く。地図上で見た以上にピークが多く、読図も気にせず行ったので現在地点を確認できないままでいる。16時30分行動停止。尾根上にツェルトを張る頃より雪が降り激しい雷に見舞われる。風も強い。
2月11日 晴れ、風強し
夜明けを待って出発、昨日より気温は低く雪も締まったのでアイゼンをつける。天気は良いが風は強い。眼前に二子山らしき峰が見えるが登ってみると辺見岳であることが確認できる。これより西沢の頭まで大した距離でもないのに、やたらとピークがあり、昨日同様右に左に岩峰を捲くうちいい加減飽きてしまい、思い切って登ってしまうと下りは案外簡単だったりすることがある。途中4m程のアップザイレンをし、時間の経過も早い。西沢の頭(P1195の一つ手前)付近は以前山火事があったそうで、両神山の山容がこのコース中で最も良く見られる。一応の目的地両見山はまだ遠くに感じられ、行けない距離ではないが下山が遅くなりそうだ。この西沢の頭より少し下ると祠があり、大谷へ下る山道がありもうこの辺で下りてしまいたい衝動に駆られるが、まだ時間も早く数少ないせっかくの山行なので、もう少しガンバルことにする。しかし当初考えていた程難しい所もなく、気持ちはダラケテしまい、両見山は眼前に迫っているが、P1194の西の肩より媒川へ下ることにする。始めは雑木林を快適に下り杉の造林地に入ると仕事道に合う。後はランラン気分かと思えば、沢を渡る丸太が凍っており、掴むところもなく冷汗ものだ。そして民家に近づくと我々の方を目掛けて銃声がする。入山時に地元の人より、今、狩猟のシーズンだから気をつけろと言われたが、幸い当ることもなく墓地の横をかすめ、民家の庭を通り、媒川へと下る。ここより村営バスで三峰口へ向うのだが、まだ2時間もあり、近くの雑貨屋兼酒屋に上がり込み酒を飲みながら過ごすと、時間の経つのも早い。
2月10日 | 白井差(9:00~9:40) → 一位ガタワ(11:55~12:00) → 両神山(13:30~13:45) → 一位ガタワ(14:45~15:00) → 幕場(16:30) |
2月11日 | 幕場(6:20) → 辺見岳(6:55) → 祠(10:15~10:30) → 下降点(12:55~13:00) → 媒川(14:35~16:20) |