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吹切峰
加藤 次男

山行日 1985年3月21日
メンバー (L)加藤、野田、佐藤(光)

 今は姿を消しつつある500円札で有名な雁ガ腹摺山から南に延びる尾根上に、吹切峰という穏やかなピークを見つけたのはハイキングマップ上であった。
 今回リーダーとして的確な判断が下せたのは、リターニングポイントのみで後はベテラン二人に大いに助けられた。野田、佐藤(光)両氏の参加に感謝したい。小生の少ない経験から毎時1キロメートルを最高ペースと計算し、雁ガ腹摺山へは無理としても、せめて吹切峰のピストンには何とかと思っていた。しかし結果として、なるべくヤブコギをせずに目的を達しようとしたためか、地図にはない登山道に南へ追いやられ、そこからのヤブコギがきつかった点もあり、1366メートルのポイントで先を断念せざるを得なかったが、充分なヤブコギを堪能した。慣れたパーティならば最初から稜線伝いに吹切峰へのピストンは可能と思われる。
 また時期としては天気がぐずついたこともあるが若干早かったようだ。というのは南面に関する限り予想通り一般登山道、稜線上にも殆ど残雪はないが、所により葉の上に雪が残っており、それだけで雨天同様ビショヌレになる。情報源としては、新ハイキングという雑誌の52年4月号に載っているとのことである。

〈コースタイム〉
大月(7:00)着タクシー → 金山鉱泉(7:15) → 稜線(8:35~8:45) → 金山峠(9:10)(これよりヤブコギ) → 1366m直下(11:30~12:00) → 金山峠(13:10) → 金山鉱泉(14:20)

 登山の形態として垂直への志向は岩登りが最たるものだと思うし、水平へのそれはヤブコギが挙げられるだろう。背丈以上あるヤブの中に身を置き、アタフタする様は自分を臆病な生物だと知らせる。小生がヤブコギをする時、その住人であるイタチやタヌキに畏敬の念を持ち、多少なりとも人間様に欠落した二次元の浮遊術を学びたいと思っているからなのかも知れない。と同時に情報が先行する社会の中にいて良い悪いは別として、登山をする際に対して情報を集めないというのも一つの方法だろうという気がしている。
 今回の吹切峰に関しては全く情報がなかったし、ただハイキングマップ上の穏やかなピークを目指したに過ぎない。それ故に結果として行き着くことは出来なかったけれど、山に遊んだという気持ちはある。

吹切峰ルート略図

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