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春山合宿
その4 剣岳集中・別山コース
関谷 伴子

山行日 1985年5月4日
メンバー (L)佐藤(明)、川田、関谷、鈴木(章)、市川

 剣岳集中のコースの中で別山尾根を選んだ時、私はとても不安だった。58年の夏に同じコースで剣岳に登ったことがあって、私は岩場は全く初めてだったので、恐ろしくてしかたなかったのだ。その後、「岩登りはしなくてもゲレンデに行こう」と決め、各訓練に積極的に参加するようにした。
 5月4日、快晴、夜明けの薄明かりの中をアイゼンをつけて剣沢を剣山荘に向って出発する。ゆるい傾斜の登りが続き、30分くらいの急登があってやっと山荘に到着した。ここで頂上で合流の喜びを更に大きくするためにリーダーの発案でビールを仕入れた。
 さてこれからが別山コースのメインの登りになる。一つ目のピークは一服剣。頂は岩が見える程度に雪が付いていて、恐い程の傾斜でもなく、意外に早く越えてしまった。
 武蔵コルで一本取って前剣を見上げる。ここも随分急登だが恐れる程ではない。一歩一歩登るごとに展望が広がり、左後方に雪庇の発達した大日岳が見える。真後ろから快適に登って1時間で前剣に着いた。
 前剣から一気に駆け降りて、避難小屋でまた一本取る。ここからの岩場は雪が付いていない。前回の山行では、私は恐怖の岩場だった所だ。気を引き締めて行く。夏の下りルートが登り用になっていて、先ず梯子が2ヶ所あり難なく通過。次は多分今日のコースで一番恐い所だ。鎖場で右へ2m程トラバースして2m程登る。高度感は十分あるし、覚悟して行ったのに、またあっけなく越してしまった。その先にもう1ヶ所鎖場があったが楽勝で抜けられ、岩場は終りになった。
 ルート選択の時の思い込みが激しかったので、意外と楽に登れたと思いながら歩いていたら、直ぐ頂上に着いてしまった。源次郎隊が先に着いているはずだと周りを見回すと、上半身まっ黒の異様な風采の人物がこちらを見ている。よくよく見ると湯谷さんであった。

〈コースタイム〉
B.C出発(4:40) → 長次郎谷出合(5:40) → 剣山荘(7:30) → 一服剣(8:45) → 前剣(9:45) → 避難小屋(10:30) → 剣岳頂上着(11:30)


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