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西吾妻スキー縦走
遊佐 勝見

山行日 1985年3月21日~23日
メンバー (L)佐藤(明)、江村(皦)、冨岡、鈴木(章)、遊佐

 スキーヤーに混じって長い長い天元台スキー場のリフトに乗ってスキー場上部に着き、身支度を整えた時は既に9時40分頃、遅めの出発である。スキーを履いて歩き出すが、後ろの人は平らに歩き同じ高さの雪面を行ったり来たりしている。傾斜のある雪面を登ろうとしない。後で聞いたら傾斜のある雪面は滑りそうで、シールで登れるとは思わなかったそうである。先入観がないというのはこういうことかと感心したりもしたが、10分もたつと皆要領を覚えてスイスイと登り出した。樹林帯の中を約40分登るとだたっ広い人形峠に着いたが、風雪があって視界が悪く、おまけにこれから先はもっとだたっ広くて迷いやすくルートを見失いやすい。先行パーティと同様、僕らも今日は行動を諦めてまた樹林帯を下り、天元台スキー場上部に幕営した。
 余った時間は待望のゲレンデスキー。格好よく滑ってみようとしたが、なかなかうまくいかないなあ。それに一番上のリフトは長くて遅くて時間がかかり、リフトに乗ったままウツラウツラと時々居眠りしてしまった。夕方天幕に戻ってからは酒を交えておしゃべり、楽しい一日でした。
 翌22日の朝、テントから覗いてみるとガスがかかっていて行動できるかどうか怪しい。朝食をとってからもグズグズしていたが、空も少しずつ上り、縦走に行く人も2・3人登って来たのを見て行動することに決定。天幕を撤収した。10時頃に出発し、昨日登った人形石まで来てみると、これから行く縦走路が雄大に広々と見え、東吾妻山の方までよく眺められる。人形石から東大巓までの広々とした雪原を快適に歩いたり滑ったりしながら、昨日のように悪天候の時歩いたら途中で迷ってしまうだろうと、余計な心配をしたりする。このスキー縦走のハイライトである。
 大雪原は東大巓から昭元山へとまだまだ続く。昭元山から烏帽子山に差し掛かる頃、所々に針葉樹林が現われ始めた。烏帽子への坂を途中まで登って、途中で右にトラバースしてからは樹林帯の中の狭い道をスキーで登ったり下りたりして結構忙しい。天気は相変わらず快晴で雪面からの反射が強い。僕のシールに加えて、江村さんのも濡れて滑らなくなってきたようだ。今日は時間もあまりないということで、結局兵子を越えた所までとし、平らな雪面を捜して幕営した。夕食を終えてからも話がはずみ、眠ったのは10時を過ぎていたと思う。
 3日目のコースでは、視界が悪いと五色沼から高湯方面への下りのルートをきちんと辿るのが難しい。しかし幸いなことに、朝起きてみると3日目も快晴である。7時半に出発して、家形山への急登を登りきると目の前に一切経と五色沼が飛び出す。雄大な景色を見ながらしばらく日向ぼっこ。五色沼の方に少し下り始めると雪面が意外と固くて、誰かがズルズルと約10mの滑落。高湯方面へは約100m程先に行った尾根を越して左に曲り下り始めるが、楽しいはずの滑走が時々悪戦苦闘となる。滑っては転び、立っては転び、下る毎にだんだん疲れてくる。比較的急な下りを約5~600m下りると後は樹林帯の中の緩い下りとなる。しかし油断すると木にぶつかりそうになってまた転ぶ。但し、皆さん声だけは元気で、その度に悲鳴に近い声を上げたりする。こうして11時過ぎ吾妻スキー場の上部に着き、スキー場をスイスイ下る。ゲレンデとはこんなに楽なのかと、皆喚声を漏らして滑っている。
 高湯に着いて昼食後、卵子湯の温泉で休んでいると、会友の佐藤さんが立派な車で迎えに来てくれた。僕はその夜福島の実家に泊まったが、他の方々は佐藤さん宅に泊まり、翌日安達太良山に登って滑ったとのこと。とにかく山スキーとゲレンデスキーを満喫した楽しいスキー山行でした。


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