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小出俣山
野田 昇秀

山行日 1985年4月28日~29日
メンバー (L)今村、牧野、野田

 例会の四郎岳を変更したものです。リーダーの今村さんより四郎岳の参加者が他にいないので小出俣山に変更したいとの話があった時、かつて小出俣の肩まで登りながら強風で頂上を踏めなかったことを思い出し参加をお願いする。今村さんも同様悔しい思いの残る山だそうです。
 4月28日、水上駅で牧野さんと会い仮眠後、タクシーで阿能川林道の舗装終点まで入る。未舗装ではあるが広い林道がかなり奥まで続いているがタクシーはここ迄。舗装道路しか走らない都会型のタクシーである。前回来た時よりも広くなった仏岩林道に入り赤谷越による。仏岩見物は牧野さんだけ、ロートルは腰を下ろして休むだけである。ここから三岩岳へは尾根通しの道を行く。踏跡が整備されているのは巡視路として使用している送電線まで、後はヤブ道である。雪稜を期待して来たのに当てが外れ、嫌々のヤブは時間がかかるだけである。小さなピークを幾つか越え三岩岳近くになると残雪歩きになった。三岩岳で小出俣、阿能川岳の展望を楽しみ大休止後、なだらかな雪尾根をピッチを上げ阿能川岳に着く。頂上近くの稜線に幕営する。頂上を踏んだのは今村さん、牧野さんだけ、私は休みです。
 4月29日、今日も快晴、朝頂上へ行くつもりが忘れてしまい、結局踏まずじまい。小出俣に続く尾根へ下降すると右側はマナイタグラ、左側は小出俣と展望の良い所です。のんびりと楽しみながら歩く。所々ヤブが出ている。藪を嫌い肩を通らず雪渓を拾いながら小出俣の頂上に出た。万太郎、仙ノ倉と大変展望の良いピークである。
 今まであった先行者のトレイルも此処まで、いよいよ変人奇人の好む尾根の始まりである。稜線伝いに十二社峰への分岐ピークに登る。ここから南下する尾根は竹、灌木、石楠花と完全なヤブである。人は勿論獣さえ通った跡がない。いつまでも続くヤブに嫌気がさし、今村さんとトップを交替し、尾根を嫌って急な雪渓を拾って歩くことにする。久しぶりの雪渓で2・3歩でツルリ、ザーを繰り返す。トップがこの状態ではとても歩けたものではない。苦労してまた尾根に上がりヤブこぎを繰り返す。十二社峰に近づくと尾根に雪が残っている所もあり少し歩きやすくなる。
 あこがれの十二社峰は三角点があるだけの何もない頂上でした。記念写真を撮り、遠くに見え始めた赤谷湖を目指して歩き出すが、踏跡はない。薄い踏跡と白紐の目印が現われたのはかなり下でした。朝の出発より12時間の苦闘で川古温泉の林道ゲートの所にやっと下山できた。ヤブこぎの嫌いな牧野さん今日は大奮闘。少しはヤブが好きになりましたか。川古温泉で汗を流し新幹線で帰宅しました。
 3月か4月初め雪の豊富な時に登れば静かで快適な山行ができるコースです。

〈コースタイム〉
4月28日 阿能川林道(6:30) → 赤谷越(9:00) → 三岩岳(15:00) → 阿能川岳(15:20)(幕営)
4月29日 幕営地出発(5:30) → 小出俣山(8:10) → 十二社峰への分岐(9:10) → 十二社峰(14:50) → 川古温泉(17:30)

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