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奥秩父入川股の沢~十文字峠
今村 信彦

山行日 1985年6月15日~16日
メンバー (L)今村、野田

 前夜の内に三峰口駅まで入り、駅前にツェルトを張る。朝一番のバスで秩父湖にて乗り継ぎ川又へ入る。今日は初夏とは思えぬ程寒く、数日降り続いた雨でかなり増水しており、空は今にも降りそうな天気で、沢歩きするにはためらいが出る程だ。
 股の沢へは先ず、柳小屋を目指す。車道、軌道、山道と長い道程だ。柳小屋で昼食後、本流である真の沢出合までは股の沢林道を行く。今年に入って手入れされたのだろうか、真新しい道標があり歩きやすくなっている。
 いよいよ、これより沢に入る。雨は降らないものの深い霧に覆われて暗く、水はしびれる程冷たい。最初の滝は右をへつり気味で登れそうだが、水流が激しくためらいもあり、少し手前右側より踏跡がありあっさり捲いてしまう。この沢は大きな滝はなく直登できる滝はほとんどない。高捲きも踏跡が割りとしっかりしており、下降でザイル使用1ヶ所のみ、奥秩父三大美渓の一つといわれる程の良さも、倒木が目立ち荒れた感じもあり良い印象はない。袖小屋窪を右に見送り、二俣までは順調に進む。これより右俣に入るが地図及びルート図でも20分位で股の沢林道とぶつかるはずだが、40分進んでも道に出ず、二俣に戻り左股に入る。この先滝は2、3あるものの問題なく、20分程で股の沢林道に出る。地図ではここより尾根をまたぎ、すぐに右俣を渡り左岸沿いに山道が記してあるが、実際にはこれよりまだだいぶ先まで右岸沿いに延びている。山道を30分程登り右俣の枝沢にツェルトを張る。明日は甲武信岳に登るつもりだったが、非常に疲れてしまい、アルコールも思うようにノドを通らぬ有様。結局、二人とも行ったことのない三国峠を目指すことにする。夜は非常に寒くシュラフ使用にもかかわらず、充分に寝ることができなく朝を迎えた。
 16日、今日は思いもよらず天気が良さそうだ。十文字峠へは右岸沿いの道をまた20分程登り右俣を対岸に渡ると、奥秩父特有の黒木の樹林で苔むした山道は、足の裏に気持ちの良い感触が伝わってくる。十文字峠より十文字山を経て三国山への山稜は、前半は見事なシャクナゲの林を通り次にツツジに変るコースで、花も多くあり展望も良く楽しいハイキングコースだ。三国峠よりまだ歩き足りぬ野田さんは、三国山より松尾尾根経由、埼玉側の中津川を目指し、私はヒザの調子が良くないので信州側の梓山へ下山。それぞれ別行動とする。野田さんは三国山より松尾尾根へ30分程下るが倒木多く、踏跡が入り乱れ、最終バスまで時間的余裕がなく三国峠へ戻り、中津川林道を早足で3時間余り、私の方は三国峠より舗装道路でゆっくり2時間だった。

〈コースタイム〉
6月15日 川又(7:45) → 柳小屋(11:30~12:05) → 袖小屋窪(15:00) → 股の沢林道(17:30) → 幕場(18:00)
6月16日 出発(5:35) → 十文字峠(6:45~7:05) → 三国峠(10:15)(これより別行動)

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