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一ノ倉、一ノ沢、雪上訓練
月山 純典
山行日 1985年5月25日~26日
メンバー (L)大塚、佐藤(明)、井上、田中、山田、月山、吉岡、鈴木(章)、佐藤(八)、大久保、岩井、本山

 5月24日、小雨の中を22時46分発の電車に乗るべく上野駅に集合する。この日出発するのは大塚さん、佐藤(明)さん、井上さん、田中さん、山田さん、そして私の6名である。
 翌25日、2時40分頃土合着、外はあいかわらず雨模様である。晴れることを願いつつステーションビバークとなる。しかし、起床後も雨は止まず、8時頃一の倉出合を目指して出発する。途中、腹の虫の居所の悪かった指導センターの管理人に計画書の提示を求められるというハプニングがあった。出合に到着後テントを張り、直ちに一の沢へ訓練に向かう。雨とガスは南稜テラスより上を隠し、写真でしか見たことのないその全貌を容易に見せようとしない、残念だ。一の沢を5・6分つめた所で訓練を開始する。
 まずキックステップによる登り降り、トラバースを繰り返し練習する。斜め下にトラバースするのが難しい。次に滑落停止に入る。最初は停止の姿勢から突き刺したピックを上げ、少し滑り出した時点で再びピックによって制動をかける訓練、次に座った姿勢から一転し制動をかける訓練、最後に少し勢いをつけて滑り出してから停止する訓練と順に練習する。脇を締めてピックが雪面に直角に入らないと腕に負担がかかり苦しい。
 更に確保の訓練に入る。これはついつい滑落者に直結するザイルを握ってしまい、うまく制動がかからず飛ばされてしまう。滑落者と反対側のザイルを徐々に体に巻きつけるようにすることを教わる。
 次にピッケルを雪面に全て打ち込んで支点とする、スタンディング・アックス・ビレイ。これも徐々に制動をかけるとのこと。更に、ここでは確保者が確保した状態からプルージックで支点をとり、確保の状態から脱出する方法も習う。以上いずれの訓練も滑落者が元気のある田中さん、佐藤(明)さんであったので、本番並の良い訓練になった気がする。
 ただ、あいかわらず降りしきる雨であったので、この日の訓練はここまでとする。この頃には雨はテントの移動を余儀なくさせる程になる。濡れた体は気持ち悪かったが会友の佐藤(哲)さんの車で、水上温泉へ行けることになる。万歳!!。
 酒食の後、明日天気が回復すれば、東尾根へ向かうことに決まる。22時頃に就寝する。
 開けて26日、5時前に吉岡さん、鈴木(章)さん、佐藤(八)さん、大久保さん、岩井さん、本山さん達が到着する。天候は思わしくないので結局、東尾根は中止となり、昨日と同様の訓練となる。そして、その後一の沢を少しつめてこの訓練を締めきりとする。
 テント撤収後、水上駅から谷川温泉へバスで向かう。露天風呂から眺めた空は少しずつ広がり始めた晴れ間と遠くの稜線と、そして若々しい新緑が目にしみた。


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