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正月合宿槍ヶ岳
その1 昭和61年正月合宿総括
佐藤 明

○はじめに
 今回の正月合宿も全員無事に槍ヶ岳集中を成し遂げたことは、三峰山岳会にとってこの上ないお年玉であった。一つの社会人山岳会として5パーティ20名もの大部隊を厳冬の槍に投入できただけでも特筆すべき快挙である。左記報告が今後の山行計画の一助となれば幸いである。
○目標山域の決定
 出来るだけ多くの人間を投入し、皆で山を愉しむという私の方針と現役の登りざかりの者も満足できるルートが存在する山域として槍ヶ岳を選定した。会の雰囲気として北アルプス指向が強く、近年冬の槍へは行っていなかったのもその理由である。
 また槍ヶ岳登頂後、槍平集合とすることにより、皆で成功を喜び合えるというメリットもあった。今年も山域を一つとし、各パーティ間のトランシーバーの交信を可能にした。これにより会員相互の連帯感が強まり、緊急時も即座な対応が可能となる。
○訓練山行の実施
 全員で冬山を目指すためには、ザイルワークなどの技術習得が不可欠である。そのため4月三ッ峠での岩訓練、5月剣での合宿と谷川での雪訓、6月丹沢での沢訓練、10月に岩訓練、11月富士山雪訓が行われた。また12月中旬にパーティ毎の最後の調整山行を実施した。これは各パーティのメンバーの連帯意識向上と雪への慣熟、体調の調整、及び装備の整備状況の確認が目的である。
○偵察山行
 10月の体育の日に北鎌へのアプローチ、東鎌、西鎌、及び滝谷の偵察、デポ山行を実施した。また11月の文化の日に槍平へのガソリン4リットルのデポ、及び西鎌、槍沢の偵察を実施した。偵察参加者12名。
○合宿期間中の天候
 前年度とは逆の暖かい年末で、12月30日は強い低気圧通過に伴い気温は7~8度と高め、標高2000m付近にいた槍平隊や北鎌隊は降雨のため行動に支障をきたした。又、スノーシャワー程度と見られていた滝谷も、この暖かさで雪崩が連発し、湯谷君もこれに流されたが無事だったものの滝谷登攀を断念した。年が明けてからは槍平でマイナス10度、稜線でマイナス15~20度と平年並みに戻った。積雪は槍平で約2m、横尾1mでワカンの使用はなかった。
○トランシーバー交信状況
 27メガヘルツ帯0.5Wトランシーバー4台を使用したが、距離の割に交信状態は悪かった。槍平~槍の肩間は感度なし。槍の肩~西岳間感度弱い。原因として雪壁や濡れた天幕のシールド効果、及び低温や結露による電池の出力低下が推定される。
 各隊の行動記録は下記に掲載しました。

各隊の行動記録

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